感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬佳彰
8
中学の頃、ラジオで「小沢昭一的こころ」を聞くのが好きだった。ぜんぜん内容がわからないエロティックなものもあったが。本書は、小沢さんと網野善彦さんの対談を読みたくて入手した。小沢さんによる放浪芸の研究は、ふわっと知っていたが、ここまで深いものだったとは。二人の会話から垣間見える、日本の古層の気配には好奇心を刺激される。俺が折口信夫や柳田國男、三角寛、（ちょっと境界線上か）八切止夫などを知ったのは、大学時代、図書館ごもりをしていた頃だった。今の子供たちは、どうやって日本の民俗誌やかつての放浪者を知るんだろう？2019/11/18
ゴロチビ
3
「あしたのココロだー！」は父親がよく聞いていたっけなぁ。三十年程前、小さな田舎町の"文化講演会"で氏の話を聞いた。意外にも、自分がそれまでに聞いたどんな講演よりも文化的な内容に思えた。終戦により海軍兵学校から欲の延べ棒を担いで帰途につく小沢少年。列車で広島の街を通過した時の様子がやはり印象に残っている。もしかしたら当時出した本のダイジェストだったのかもしれない。この続きは拙著◯◯で、と言われ書店で探したが見つからずそれっきりに。あの時、我々聴衆が講師を値ぶみしていた以上に我々も見られていたのかも？と思う。2021/09/16
筋書屋虫六
2
俳優、藝能研究、俳人変哲、トルコ研究家…軍国少年、しっぽまでギュッとあんこが詰まったような１冊でした。が、自分の中の小沢先生像はますます膨張、巨きな魚影はヌルッとした感触を残して腕の内からすり抜けていっちゃいました。大きいなぁ。2010/07/27
Komine Masako
0
小沢昭一さんの原稿や対談、小沢昭一さんに関する記事を集めたもの。いろんな角度から見た「小沢昭一」という人が詰まっていて、立体的にこの人のイメージが浮かび上がってくるよう。この本を読むまでは、どんな人なのか知らなかった。元軍国少年。社会からの逸脱者たる「芸人」への憧れを持つ人。アンダーグラウンドを愛する人。トルコ風呂のあたりはちょっとひいちゃったけど、失われつつある日本の放浪芸を収集するところは、民俗学者的な一面が見えてとても心惹かれる。著作を読んでみるつもり。2013/06/04
