出版社内容情報
91歳で没するその日まで歌を作り続けた空穂。家政学者の立場からその魅力をとらえ直した出色の論。未発表小説「初恋」収録。
内容説明
九十歳、最後に近く歌作に励んだ空穂。近代短歌史上例をみない輝き。そして、艶。自在の境地に遊ぶ老いの歌。家族関係学の視点から食育と老い方モデルに照明を当てた独創的な論考。空穂未発表習作を併録。
目次
第1部 窪田空穂の短歌に学ぶ(窪田空穂「食」の歌に学ぶ食育―家庭科“食生活分野”教育法の一展開;男の老い方モデル―歌人窪田空穂の場合;窪田空穂の身の上相談 抜粋)
第2部 窪田空穂にみる明治の家族と初恋(婿養子空穂―窪田空穂新書簡;養子―窪田空穂未発表草稿;帰省の記―窪田空穂日記より;初恋―窪田空穂未発表小説)
著者等紹介
臼井和恵[ウスイカズエ]
1949年、群馬県生まれ。1972年、お茶の水女子大学家政学部家庭経営学科卒業。74年、お茶の水女子大学大学院家政学研究科修士課程修了。相模女子大学教授、副学長を経て、相模女子大学名誉教授。現在、東京福祉大学教授。専攻は家族関係学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
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窪田空穂記念館は冬季は休日のみ開館。平日はなし。「或時 無くてはならぬ 飯と汁とを 分ち合ひ 食らふ心を 持ちたりや我」(36頁)。ていねいに味わって食べる(37頁)と著者の解釈にも共感。空穂の90年近い生涯には、米騒動、関東大震災、太平洋戦争で我が子を失った(48頁)。老いのモデルとしての空穂(67頁)。死の4日前の心境をも歌に詠んだという恐るべき歌人魂。人間は70台までだな、としみじみ(73頁)。後期高齢者とか、75歳。亡き母は75歳で逝ってしまった。あれから8年近く経つ。毎朝毎夕、仏壇でりん鳴らす。2022/12/10