• ポイントキャンペーン

リュシル―闇のかなたに

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 399p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309920429
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

国民的スターだった母の自殺の謎を非情なまでに探索し、仏の文壇を騒然とさせた問題作。ゴンクール賞候補。U・K・ル・グイン絶賛!

【著者紹介】
1966年パリ生まれ。作家。『ノーと私』で2008年フランス本屋大賞受賞。他に『ひそかな時間(仮邦題)』、『リュシル』。2014年『A coup sur』で映画監督デビュー。

内容説明

どうして母は自殺したのか?娘である著者はその謎を追い求める。子ども時代、高級ファッションブランドのモデルとして国民的なスターだった母が、成人して狂気に襲われる。どうして母は精神に異常をきたしたのかという疑問、同じ病に自分も襲われるかもしれないという不安が、その錯乱を目の当たりにした作者につねにつきまとう。母の生きた軌跡をたどると、次々と闇の部分が明らかになっていく。母の生きた軌跡を描ききることで、著者の魂は救われるのだろうか。

著者等紹介

ドゥ・ヴィガン,デルフィーヌ[ドゥヴィガン,デルフィーヌ] [de Vigan,Delphine]
小説『ノーと私』により2008年フランス本屋大賞を受賞。この作品はザブー・ブライトマン監督により映画化された。その後、『Les heures souterraines』『リュシル』を上梓。いずれも世界各国で翻訳出版された。2014年、封切りとなった映画『A coup s^ur』により映画監督となる。パリ在住

山口羊子[ヤマグチヨウコ]
翻訳家(フランス語・英語)。お茶の水女子大学文教育学部卒。フランス・ランス大学留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

66
理性的でありながらも狂気に落ち、這い上がってきた母が自ら、命を絶った。筆者は母がなぜ、命を絶ったのかを自らの系統の歴史を紐解きながら客観的に探り出していく。理性があるからの心に受けた傷の苦痛やそれの苦悩は誰しもあると思う。作者やリュシルが感じた自分も「ああはなりたくない」と思っていた家族や家庭と同じことをしている時のゾッとした感じに共感。理解したくても感情が拒否してしまう苦しみを流そうとしてできず、それでも生きていくことへの疲れが「私は生きている状態で死にたいのです」というリュシルの言葉に凝縮されている。2015/04/30

白のヒメ

54
何故母親が自殺したのか、親戚に母親の生い立ちを尋ねてたどり着いた事実。その苦悩、血のしがらみを見つけて、娘である自分の中にも同じ狂気の芽を見つけた気がして作者は身震いする。血の絆。愛おしくもなんて恐ろしい宿命だろうか。「リシュル」と三人称で描かれる作者の母親の壮絶な人生を読み終えて、とてつもない疲労感を感じた。生きるという事は戦いだと言う。死ぬまで続く戦いに、疲れ切って時々投げ出したくなるのも人間の本音。だけど壮絶な人生を生きてきたからこそ、最後の最後のリシュルの自死に地団太を踏みたくなる悔しさを感じる。2015/04/04

星落秋風五丈原

51
二部構成で、第一部は母の両親の世代から母の結婚までを三人称視点で書き、第二部は娘の視点から見た母を描く。プロであるなら客観的視点を持って物事を描ける「作家としての面」と時に母親の心情に寄り添える「娘の面」を分けられる。それが理想であるのはもちろんだがそもそも母親の闇を解き明かそうと思った著者の動機が極めてプライベートなものであり、完璧な客観視は難しい。しかしそれは決して本書の欠点にはならず、かえって意図せず辛い事を探り当ててしまった際にも、臆さず書いてのけた彼女の心情に読者が容易く寄り添えるのではないか。2016/07/03

yumiha

30
高級ファッションブランドのモデルをしていた子ども時代のリュシル。表紙の写真も人を惹きつける美人だ。美人だったらもっと人生は思いのまま運んだかもと夢想したことのある女性は多いはず。でもリュシルは、これほど美しくても(美しかったからこそ?)、何度も錯乱し、とうとう自殺してしまう。娘であるデルフィーヌ(作者)は、さまざまな資料や証言などを集めてリュシルの生きてきた(耐えてきた?)軌跡をたどる。納得できる答えを見つけ出すことが、リュシルにとっても作者にとっても必要な作業だった・・・。2019/03/08

ぐうぐう

23
自殺した母のことを書く。執筆の動機としてそれは、なぜ自殺しなければならなかったのかの謎を解くというものだったのだろう。しかし著者のデルフィーヌ・ドゥ・ヴィガンは、書いているうちに気付く。真実などどこにもないことを。母リュシルの子供時代を綴りながら、デルフィーヌは何度も何度も立ち止まり、執筆を中断する。そして自問自答するのだ。私のやっていることは正しいのか、と。それでもデルフィーヌは書くことを続ける。(つづく)2015/02/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9105954
  • ご注意事項