内容説明
60代―漠然とした不安を抱えた女たちへ。
著者等紹介
伏本和代[フシモトカズヨ]
1948年北海道小樽に生れる。1992年文学界新人賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うさうさ
26
中高年の日常に潜む心の闇を描いた6つの短編集。定年した夫がずっと家にいる憂鬱、お金の無心に来る無職の息子…ああ、いくつになっても心の平穏は訪れない。最初の2話の心理描写が上手くて、想像するだけで心がヒリヒリした。2015/08/05
安南
19
これはただ、もう、タイトル買い。今や内科、婦人科、形成外科でさえ処方される安定剤デパス。デパスの恐ろしさは嫌という程身に染みてますが、あの甘美さを想像すると、涎でそうです(笑)。小説のタイトルになるとは、ほんとにポピュラーというか…敷居が低い。だから、デパス廃人も、後を絶たない。作品自体は、イマドキ中高年の日常を描いた短編集。デパ廃ばかりでなく、ネトゲ廃人の老婆の話し『アバターに恋して』は興味深い。でも、やっぱり、年上の方には、美しい日本語を使ってほしい気持ちもあり、この若々しさは、少々残念。2013/03/19
❧nao❧
18
初読みの作家さん。「私はうかうかと齢を重ねてしまった。本当に時間つぶしみたいな人生」たいしたことない人生だなあ、と思うことはあっても、ここまで思ったことはなかったのですが…。綺麗ごとがないのでピリピリきます。2016/03/12
これでいいのだ@ヘタレ女王
17
題名を見て手に取り思わず図書館で一気読み。中高年夫婦のネガティブな面でのリアルな話。サクサクと読めるがリアル過ぎて やるせなくなった。2013/12/17
まいこ
13
今の中高年女性の、どこか笑ってしまうようなぬるい不安や家族関係あれこれの物語。ネトゲ廃人になりつつある女性の気持ちは想像できてしまうし、どんどん時間を吸い取られ人生が荒廃していく様子はすごくリアル。「塗る男」もそうだけど、リタイア後に何かにのめり込む中高年は多いんだろうな。自分の家族や社会の中で居場所がないから?眠るという行為についての「死ぬ練習をしているのよ 毎晩毎晩。」という台詞に、年齢は届かないけど同意してしまった。どの人物も真剣なんだけど微妙に病んでいて、わかるわかると思ってしまう。2015/09/12