内容説明
紀元前210年、秦の始皇帝が死ぬと、陰謀家の宦官・趙高が秦の権力をにぎる。その恐怖政治を転覆させた若者、陳勝・呉広。反乱は全国に広がり、やがて項羽と劉邦が立つ。『秦始皇帝と暗殺者』につづく漢誕生前夜の、中国歴史講談第2弾。
著者等紹介
天堂晋助[テンドウシンスケ]
1968年、埼玉県生まれ。安原顕氏の創設した創作学校に小説を学ぶ。創作学校にて優秀賞受賞。学研主催の第2回歴史群像大賞において奨励賞を受賞。それをきっかけに会社を辞め、文筆業に専念。「歴史読本」「歴史と旅」などで、ライターとして活躍
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感想・レビュー
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BIN
6
秦帝国を滅亡に導くきっかけを作った陳勝・呉広を描いた作品。陳勝は大言壮語の人間で人望も全くなく短慮なところもあるけど、時流に乗って勢いに任せて立ち上がったことだけで評価される男です。内容としては史記の内容に発起前のエピソードを肉付けしている程度で特段面白いわけではなかった(時系列でおかしいところもある)。それにしても農夫で学がないくせに「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」「王侯将相いずくんぞ種あらんや」という名言を吐いたのは凄い。2016/03/06
鬼山とんぼ
2
この反乱は中国史を語る上で見過ごせない大事件で、その後の政権交代にもほぼ毎回農民反乱が絡んでいる。多分習近平失脚の際にも注目されると思う。日本人には縁の薄い事件なので、比較的読みやすいこの本はあるべきだし、もっと多くの人に読まれていい。史記など限られた史料をベースにたっぷり想像力で穴埋めしフィクションを混ぜ込んでハードボイルド仕立てにしてあるが、私は制約の多い中では許容範囲だと思っている。2022/02/17