内容説明
暗殺者のいけにえとなり、男の欲望のために傅きながらも、マリーは、根源的なエロティシズムと「狂気の愛」によって勝利をおさめる…。永遠に「女性的なるもの」の至福と栄誉をうたうシュルレアリスム小説の傑作!改訳決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YM
52
お気に入りさんの感想より手に取った本書。前情報ゼロだったけど、ほんと素晴らしかった。凄まじく狂暴で、サディスティックで、エロティックな行為の数々。しかし上品で神々しくすら感じさせるポエティックな表現。もう圧倒されて平伏しました。こういう体験のために読書をしていると言っても過言ではありません。男なんて強がってるだけで弱っちいもんです。女性の手のひらで転がってるんです。ちゃんと分かってるから、お願いだから、ころころさせて。2014/12/28
yn1951jp
33
これほどに圧倒され興奮した物語はない!「ほとんど作品全体が巨大な女体のアナロジーであるかのよう」(巌谷)。ポルノグラフィーと同様に、女体の物語であり、身体で読む物語である。読んでいて体に「肉腫の根を植えつけ」られるのである。「物語といえるかどうか、むしろ、それは物語の恥骨が白骨化してむき出された世界」(金子) 「欲望という名のもう一つの自由」を求め暗殺者に仕えるマリー、そこに妹アンヌ、祖父ジェレミー、鸚鵡、猫。マリーは自ら暗殺者のナイフの前に股をひろげ、肉体をえぐられ、そして暗殺者は生贄の支配下に。2014/12/19
Mark.jr
3
「そもそものはじめ、神様が地中の洞に棲み、その双子の兄弟が空に眠っていたころのこと、宇宙はかたちも定まらず虚ろなままで、ただ人類の残存者数人だけが、創造の思考にかき乱された深みの底の、海をみはるかす<北アフリカ人>ホテルのなかで生きていた。」 この冒頭の文章だけで、一気に好きになってしまいましたね。しかし、全編シュルレアリスムの詩文で綴られたような、凄まじくサイケデリックな作品です。2022/11/27
織沢
2
巌谷國士「シュルレアリスムと小説」より。 サディスティックな描写の数々に感嘆しつつ、図書館本なだけにゆっくりと味わうことが出来ず、詩的な世界観に脳天まで浸かれなかったのが悔やまれる。 されど描かれる物語の上品に惨い感じやマリーの身内に秘めた恐ろしさは心を惹きつけて離さない。 近いうちにまた読むと思う。2018/09/29
cosmostone
1
白い砂浜。2011/06/06