内容説明
「遺言状を書きかえたい」というセスリー氏に呼ばれた弁護士がウォンドルズ・パーヴァ村に赴くと、セスリー氏はアメリカに行ったという。弁護士は狐につままれるが、その翌朝、隣町ボスベリーの肉屋で、牛肉を吊るす鉤にぶらさげられた首なし死体が発見される。現れては消える頭蓋骨、屋敷の森の“生け贄の石”周辺の怪しげな出来事、複雑怪奇な事件に乗り出したのは、精神分析学者で、魔女の血を引くともいわれる名探偵ミセス・ブラッドリー。英国ヴィレッジ・ミステリの逸品。
著者等紹介
ミッチェル,グラディス[ミッチェル,グラディス][Mitchell,Gladys]
1901‐1983。イギリスの作家。オックスフォードシャーに生まれる。ロンドン大学で歴史学をおさめ、教員生活を送りながら探偵小説の執筆に手を染め、1929年、第一作『迅速な死』を発表。心理学者ミセス・ブラッドリーを探偵役としたシリーズで、英国ファルス・ミステリを代表する作家となる。そのオフビートなユーモア、エクセントリックな事件を扱いながら煽情主義を排した作風は、詩人フィリップ・ラーキンら熱狂的なファンを持つ。代表作に『ソルトマーシュの殺人』(32)、『月が昇るとき』(45)、『トム・ブラウンの死体』(49)など。別名義を含め、七〇冊以上の長篇ミステリを発表している
清野泉[セイヤイズミ]
筑波大学第一学群社会学類卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
11
バラバラ殺人というグロテスクな事件を扱っていながら、悪趣味に感じないのは、品がいいからか。探偵役の心理学者ミセス・ブラッドリーは警察の捜査を攪乱して楽しんでいる感じ。マープルとはまた違う個性的な老女探偵で、独特な倫理観で、事件を解決。最後の章で、事件がひっくり返ります。2008/02/22
たぬきち
3
題材にひかれて。図書館本。てっきり、カーや、ブラウン神父みたいな展開になると思ってたのですが、違ってました。バラバラ殺人でドロドロなはずなのに、ちっとも怖くない。とにかくミセス・ブラッドリーが強烈。40代の女性だと思ったら、おばあさん。これで、おばあさん!凄いパワフル。オチが、あっけないのは残念。期待していたのとは違うけれど楽しめました。2018/02/14
野田有
3
緊張感が高まったとこで梯子を外される感じがいいね。2010/12/29
竜王五代の人
2
探偵役の強烈な婆さん(小金持ちでポンと寄付したりで他人を動かしたり)が猟奇事件に首突っ込んで趣味と実益(精神分析学者なのである)兼ねて楽しむという異色推理小説。出てくる人物も(被害者含め)なんか捻じれたのばっかり。推理と言うよりはそこまでのドタバタと言うかハチャメチャが見ものな気がする。2022/09/28
tekka
2
読んでいるうちに、自らの倫理観を試されているような気分になってくる底意地の悪いミステリ。好きか嫌いかを問われたなら好きと答える作品。2020/09/14