出版社内容情報
書物は石に刻み、木や葉に書くことから始まった。紙の発明、大印刷時代、デジタル化……いま改めてその歴史を振り返る。新装版。
内容説明
人類が本に込めた熱い思いをたどる、書物の世界史!
目次
1章 書物という仕組みは(本とはなんだろう―旅のはじめにあって;紙という舞台―この最強のメディア ほか)
2章 本が揺り籃から出る(アルファベットを書く―書体の工夫;漢字の書体 ほか)
3章 書物にみなぎる活気(グーテンベルクの存在;大印刷時代の展開 ほか)
4章 本の熟成した味わい(本は権利のかたまり―著者権と著作権;本の文明開化―本木昌造と福沢諭吉 ほか)
5章 書物はどこへゆくか(神田神保町―どっこいそれでも古本は生きている;デジタルの衝撃 ほか)
著者等紹介
樺山紘一[カバヤマコウイチ]
1941年、東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学文学部教授。のち同大学名誉教授。国立西洋美術館長を経て、2005年より21年まで印刷博物館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
71
図書館の新刊コーナーで見つけて。紙が生まれ、文字が生まれ、印刷が生まれ、本となる。宗教を伝えていた本が、やがて大衆の文化となる。本にまつわる歴史を2ページ見開きで一項目ずつ、画像も入れて解説してくれる。本好きには嬉しい本。禁書、焚書、検閲といった本にとっては悲しい事実も。最後、本の未来形としてデジタル化も語りつつ、デジタルと違って、アナログの本は、「ひとの魂を慰撫し、人生の充実を保証してくれる」と言う。ほんとに、そうだと思う。2022/05/23
よっち
32
石や葉に書くことから始まった書物。グーテンベルクの印刷術によって大きく進展した本とは何か。改めてその歴史を振り返る一冊。印刷博物館の館長も務めた著者が紹介する、紙、簡と碑、巻子や冊子といった媒体の違いや成立した経緯、製本や判型、ページレイアウトに始まり、アルファベットや漢字、インドやアラビアの文字のこと、仏典や四書・五経、ヨーロッパ中世の写本といった各地域の事情。活版印刷の活況、禁書や焚書のこと、検閲や翻訳、旅行記や百科全書の時代こと、日本の事情にも触れていてテーマごとに整理されていて読みやすかったです。2022/06/02
スプリント
18
なにかに書き残すという行為から本の歴史が始まった。 そして現代ではそれがデジタルに置き換わり書き記すという行為から大きな転換がされようとしている。 本は大昔のように希少本だけになるのかもしれない。2022/06/26
軍縮地球市民shinshin
17
カラー図版が数多くあって、本の歴史が理解しやすく製作されている。粘土板、パピルス、羊皮紙そして紙、巻物から冊子体に進化してきた。そして手書きの本から活版印刷時代に入り、電子書籍への展望まで書かれている本の通史。2022/05/26
tieckP(ティークP)
9
言わずと知れた碩学の印刷博物館館長、樺山紘一が、同博物館の三名の学芸員とともに、西洋・日本の本について様々な側面から述べた本。普通、こうした本は執筆者それぞれの得意分野があり、たいていは章ごとに執筆者を分けるのだが、本書は執筆者の予想が立たないほどに執筆項目が入り交じっている。博識な者が揃うと、このような遊びも成り立つのだろう。時代順など体系的に並んでいるわけではないので、好きなテーマだけ読めば良い本だが、どのテーマを採っても面白い。このシリーズの図像の多さも、本の歴史だけに良い方にのみ働いている。2022/08/27