感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じょうこ
7
人間ではなく、どこかの違う世界の森に住む生き物たちのお話のようで、その世界観、描き出す風景はとっても好き。川底の墓など読み手が想像するしかないイメージ、人びとの関係性と流れる時間など、ここではない別の世界があって、読んでいる時間が最高に心地よい。翻訳も最高なんでしょうね。アニメや映画のようなビジュアルの助け無しに、イメージができる小説。ちょっと村上春樹作品を思い出した。こっちの方がプリミティヴ。2023/10/10
花きちがい
4
あまくて、しずかで、さみしいけれど、読者がそれに浸るのを拒絶するような何かがある。きっと可能であろう様々な解釈の、そのずっと彼方にひっそりとたたずんでいるような、そんな小説だった。2010/11/24
かおる
3
最初はあまりにメルヘンチックであったが、愛と風と、のあたりからじわじわと人間も情景も形を持ち出したがなんだか不思議だった。 何がモチーフか、と考えるべきかとも思ったが、作者の言葉を借りればあまりに屈折のない、軽い口溶けの甘さのこの村の、読んでいる間に自分に纏われるこの空気を味わうのも許されるのかなあと。2020/01/06
きろ
2
時間ができたので、ネットでオススメにあった本を読んでみた。 あまり読書習慣もないので、 他で見るレビューの「詩的」な 表現がされてるのかどうかは分からなかったが、 カントリー風なファンタジーワールド?の中に、残虐さと艶かしさが流れていたように思う。 最後まで西瓜糖が何か、鱒と虎、忘れられた世界が何を意味するのか分からなかった。2015/08/09
aya-panta
2
名前を持たない「わたし」が西瓜糖の言葉で西瓜糖でできた物についていろいろと語ってくれる。私には届いてこない物語もあって、少しもどかしい。虎が両親を食べてしまうところのセリフはよかった。「悪いと思っている」「こんなことしないですむなら~」。そう、そう。しないですむならしたくないのに、それしか方法がないことが世の中にはたくさんありすぎる。そういうこと? ほかの作品も読んでみようか。わからないところは多いけど、心地よい世界だから。2013/09/08