• ポイントキャンペーン

ブリキの太鼓

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 619,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309709642
  • NDC分類 943
  • Cコード C0397

出版社内容情報

3歳で成長をやめたオスカルは、ブリキの太鼓で身を守り、金切り声でガラスを砕く。ナチス勃興期のダンツィヒを中心に、物語は猛々しくおぞましく滑稽に加速してゆく。ノーベル賞作家の代表作、新訳決定版。

内容説明

今は精神病院の住人オスカルが、ブリキの太鼓を叩きながら回想する数奇な半生。胎児のとき羊水のなかで、大きくなったら店を継がせようという父の声を聞き、そのたくらみを拒むために3歳で成長をやめることを決意したオスカルは、叫び声をあげてガラスを粉々に砕くという不思議な力を手に入れる。時は1920年代後半、所はバルト海に臨む町ダンツィヒ。ドイツ人、ポーランド人、カシューブ人など多くの民族が入り交じって暮らすこの港町は、長年にわたって近隣の国々に蹂躙されつづけてきた。台頭するヒトラー政権のもと、町が急速にナチズム一色に染められるなかで、グロテスクに歪んでいく市井の人々の心。狂気が日常となっていくプロセスを、永遠の3歳児は目の当たりにする。ナチス勃興から戦後復興の30年間、激動のポーランドを舞台に、物語は猥雑に壮大に、醜悪に崇高に、寓意と象徴に溢れためくるめくエピソードを孕みながらダイナミックに展開する。『猫と鼠』『犬の年』とあわせ「ダンツィヒ三部作」とされるノーベル賞作家代表作、待望の新訳決定版。

著者等紹介

グラス,ギュンター[グラス,ギュンター][Grass,G¨unter]
1927年、バルト海の港町ダンツィヒ(現ポーランド、グダニスク)に生まれる。15歳でヒトラー・ユーゲントに入団、17歳で最年少の対戦車兵として召集される。18歳のとき戦闘で負傷、米軍の捕虜となって収容所に送られる。その後、墓石会社などで働くかたわら美術大学で彫刻を学び、同時に詩や戯曲の創作を開始する。59年『ブリキの太鼓』で「47年グループ賞」を受け、作家としての地位を確立。99年にはノーベル文学賞を受賞し、現代ドイツ最大の作家とされている

池内紀[イケウチオサム]
1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者・エッセイスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

181
世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc 第二十四弾 Ⅱ-12、第二期完読、全体の80%(24/30)まで何とか辿り着きました。映画「ブリキの太鼓」のイメージで読みました。しかし主人公は、よく収容所送りにならなかったものです。 次回から第三期突入です。 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/2022/02/07

ケイ

146
あっぱれなるかな、オスカル。語りの運び方が見事。精神病院に収容されている不穏さで、話の行方を読めなくするなんて…。3歳で成長をとまらせ、子供だけがもちうる妖精のような力をもったのに、どこかで入る異性への興味のスイッチ。しかし、いずれおとずれる彼なりの成長期がうむ歪み。精神病院にいるから?彼の語りの矛盾はそのせいなの?その辻褄の合わせ方は、悲劇なのか滑稽なのか。巧みに混ぜ込まれるポーランドや少数民族の歴史。しかし、なんと逞しいことか。オスカルも。彼の一族も。ユダヤ人のご主人も幸せになっていますように。傑作。2019/12/31

mii22.

74
混沌とした時代と場所(第二次世界大戦前後のダンツィヒ)を背景に自らの意思で成長をやめ永遠の3歳児の目線で世界を見つめ数奇な半生を送ったオスカルの物語。賢く悪魔的魅力に満ちたオスカルの奇妙で猥雑で滑稽なエピソードの数々がいつしか壮大な絵巻物となっていく。この愛すべき悪党は一人称と三人称で「ぼく」を語り「オスカル」を語り、比喩や寓意や妄想で読者を翻弄する。息苦しくて読みづらいのに面白い。軽快なブリキの太鼓を叩く音が脳を刺激するようなラスト数頁の爽快さはたまらなく心地よかった。2020/08/05

ケイトKATE

48
正直、オスカルが自分の意志で3歳で成長することを止める設定に意表を突かれる。成長を止めたとはいえ、オスカルの心は成長しており、その視線は冷ややかである。特に、大人たちは滑稽に語られる。ギュンター・グラスは、なぜこのように書いたのか考えると、グラス自身、少年時代にナチスに協力していた忌まわしい過去と、大人たちへの不信感があったからではないだろうか。父親殺しだけでなく、母親殺しと国家殺しをしなければ前へ進めないと思って。『ブリキの太鼓』は、ブラックコメディだが、ナチズムの傷跡の大きさを感じる小説である。2020/09/06

ヘラジカ

40
読破、というよりも踏破。紛れもない文学の高嶺からようやく帰還した気分だ。しかし、果たして本当に登り切ったと言えるだろうか。どんな山にも複数の登山道があるように、この巨大な作品にも幾つかの「読み方」があるはず。数多ある難所は当然一読で理解できたとは言えない。比較的楽な道を選んだのは間違いないのだ。それでもこの作品の衝撃は大きすぎるくらいに大きい。これ程色んな意味で消耗させる小説には、中々お目にかかれないだろう。先ず以て暫くの間、頭の中で反復し余韻を楽しみたいと思う。素晴らしい経験をありがとうございました。2015/05/20

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/585650
  • ご注意事項