存在の耐えられない軽さ

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  • サイズ B6判/ページ数 386,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309709437
  • NDC分類 989.53
  • Cコード C0397

出版社内容情報

「プラハの春」の後を襲った大弾圧の時代を背景に4人の男女が織りなす、愛と受難と絶望と哄笑に満ちた究極の恋愛小説。クンデラ自身が真正テクストと認めたフランス語版からの新訳決定版。

内容説明

優秀な外科医トマーシュは女性にもてもて。しかし最初の妻と別れて以来、女性に対して恐怖と欲望という相反する感情を抱いている。彼は二つの感情と折り合いをつけ、複数の愛人とうまく付き合うための方法を編み出し、愛人たちとの関係をエロス的友情と呼んで楽しんでいた。そんな彼のもとにある日、たまたま田舎町で知り合った娘テレザが訪ねてくる。『アンナ・カレーニナ』の分厚い本を手にして。その時から彼は、人生の大きな選択を迫られることとなる―「プラハの春」賛同者への残忍な粛正、追放、迫害、「正常化」という名の大弾圧の時代を背景にした4人の男女の愛と受難の物語は、フランス亡命中に発表されるや全世界に大きな衝撃を与えた。今回の翻訳は、クンデラ自身が徹底的に手を入れ改訳を加えて、真正テクストと認めるフランス語版からの新訳決定版である。

著者等紹介

クンデラ,ミラン[クンデラ,ミラン][Kundera,Milan]
1929年、チェコスロヴァキア生まれ。プラハ音楽芸術大学卒業後、同大学で文学を教える。67年、小説『冗談』で国内外で注目されるが、68年の“プラハの春”の挫折後、教職を追われ、全作品が国内発禁になる。75年、フランスに亡命、81年、同国の国籍を得る。84年発表の『存在の耐えられない軽さ』によって世界に衝撃をあたえる。現在もパリに住み、フランス語で執筆活動をつづけている

西永良成[ニシナガヨシナリ]
1944年富山県生まれ。東京大学フランス文学科卒業。現在、東京外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

176
世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc  第三巻は、『存在の耐えられない軽さ』、政(性)的実存小説の秀作でした。続いて第四巻へ。【読メエロ部】 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/2021/03/09

ケイ

139
人生が何度もあれば、キリストは繰り返し磔になる…重い。人生は一度だと軽いのか?一度だからヒットラーは戻らない。戻らない人生の軽さ。トマーシュの人生は戻せない。湯船で気付いた妻。“運命”的な出会いと結婚。続く女達との数々の肉体関係、隠すため巧妙に家と同じ石鹸で洗って帰宅しても、髪に残っていた女の匂いを指摘され驚愕。爆笑。理解のある女友達とも性行為があれば、腐れ縁の関係だよ。そして、湯船で妻が気付く、自分の弱さを理由に夫を犠牲にしたと。時系列の入れ替わりがあるから、ラストが牧歌的で美しい2021/07/01

ケイ

105
読みやすい文章だが、少し深みに欠ける気がした(チェコ語からの千野栄一氏と比べて)。作品についてや作者自身についての解説が非常に詳しい。感想は、千野氏訳の方に。2015/07/13

NAO

76
これは、トマーシュとエレザ、サビナ、そしてフランツの愛の話だ。だが、これは、それだけではなく、人間の存在意義について、行動の選択の必然性について、人生とはいかなるものなのかについての、哲学的な考察でもある。プラハの春以降のロシアに占領されたチェコを舞台に、ソビエトの支配下にあって過酷な思想統制に苦しめられた人々を描き、迷いだらけの軽い選択によって人生の大半の出来事が決まる中で迷いのない必然的な選択をすることの難しさ、重要さが描かれている。読みやすい訳だけれど、内容の深さにたどり着けるかどうかは別問題。2017/10/13

桜もち

51
一人の女と寝るのとその女と眠るのとは、単に違っているばかりか、ほとんど矛盾さえする二つの情熱だ、と言う著者を、繊細だと思う。でも、本当だとも思う。男女の愛のグロテスクさと悲しさと偶然の積み重なりを一枚一枚めくってみせてくれる。誰もが自分たちの愛は特別で、別れたらかなり深刻に落ち込むけど、実際どれもこれもありがちなことなのだろう。でも、人間は自分の人生の愛が重みのないものでもありうるとは考えられないから。可能性の王国で、実現しなかった愛に思いを巡らす時、心は一番軽くなり、どこまでも歩いて行けそうな気がする。2018/04/25

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