目次
ヨーロッパの乳房
エロティシズム
夢のある部屋
地獄絵
人形愛序説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梟をめぐる読書
11
初めて欧州を旅行した際の印象をもとに編まれた『ヨーロッパの乳房』、オブジェや装飾に対する愛を断章的に綴った『夢のある部屋』、人形愛やインセストを中心とした形而上学的なエロティシズム論集『人形愛序説』。〝旅〟〝オブジェ愛〟〝エロティシズム〟と、七〇年代澁澤を代表するワードがここで一息に開花したかのような印象を受ける。特にエロティシズムの面において六〇年代からのテーマや文体の洗練と純化は明らかで、肉欲的なものを離れて観念的エロスの世界への昇華が見事に果たされている。ほかに編著の解説や1973年分の補遺を収録。2013/07/10
季奈
0
「地獄絵」は著者の仏教知識の不足から、誤解が生じている点があるようなので、再読の際は注意せられたい。 この時期に書かれたものは、書斎派ダンディーこと澁澤が初のヨーロッパ旅行を決行したあたりに書かれたもので、帰国後のエッセーにも西洋と東洋の比較文化的な色が散見される。 自分は『人形愛序説』を度々読み返しているが、やはり娘でありながら妻である少女と呼ばれる独身者のモンスターを定義した著者には、脱帽である。2021/03/10