内容説明
編年体による初の完全版全集。
目次
エルンスト
渋沢龍彦集成(サド裁判をめぐって犯罪文学者考;エロス、性を超えるもの;もう一つの死刑反対論;ジャン・ジュネ論;造形美術とエロティシズム;悪魔のエロトロギア―西欧美術史の背景;A.キルヒャーと遊戯機械の発明;画家と死神;パウル・クレー展を見て;ロメーン・ブルックス―アンドロギュヌスに憑かれた世紀末;『絵金―幕末土佐の芝居絵』評 ほか)
補遺 1969―70年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梟をめぐる読書
7
一九七〇年代に入るとすぐに、桃源社より全七巻にわたる『澁澤龍彦集成』の刊行が始まる。単行本未収録の文章も含め、著者自らの手によって編纂が進められたこの撰集は、六〇年代までの氏の仕事の総決算といえるが、それが同時に作家自身によるセルフイメージの創出の契機ともなっていたことは疑いないだろう。硬直化した直線的歴史観からある特定の精神史としての〝歴史〟へと方法論の転回を促す「魔的なものの復活」は、魅力的な「系譜学」の世界への招待であると共に、それがそのまま著者自身のスタイルについての「宣言」とも繋がる優れた評論。2013/06/25
季奈
0
澁澤が自らを進化せしめんがため、暗中模索していた時期の巻。 個人的には土方巽の暗黒舞踏についての「肉体の中の危機」が、日曜美術館か何かの番組で引用されていたことを記憶していたので、原文の引用元を特定でき、妙な満足感を得られた。 そして、この巻に収録されている書き物を完成させた後、初の渡欧を決行する筆者だが、羽田空港での見送りに来た、刎頸の友たる三島由紀夫と、今生の別れとなることは、知るよしもなかっただろう。2020/12/07