ストレンジ・フィクション
ほかの惑星への気楽な旅

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  • サイズ B6判/ページ数 355p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309630045
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

過剰な刺激に身体を蝕まれる「情報病」が蔓延し、その一方で、テレパシーが発達しているいびつな世界。南極では領土問題をめぐって核戦争が勃発の危機にあり、人々は常にストレスにさらされ、不毛な性愛に救いを見いだしている。緊張感に満ちた世界の片隅で、女性科学者とイルカの禁断の愛が、その危ういバランスを崩しはじめる―。1981年に発表されて以来、バーセルミ、ディック、バラードの手法を継ぐまったく新しい現代小説として絶賛を浴び、サイバーパンクの必読書として、果てはスリップストリームの傑作として読み継がれてきた衝撃の書が、待望の翻訳。

著者等紹介

ムーニイ,テッド[ムーニイ,テッド][Mooney,Ted]
1951年10月19日、テキサス州ダラス生まれ。本名エドワード。両親が政治家のスピーチ・ライターをしていた関係で、少年時代を首都ワシントンDCで過ごしたという。長じてはニューヨーク州のコロンビア大学、ヴァーモント州のベニントン・カレッジで学び、後者を1973年に卒業した(専攻は美術)。以後、「アメリカン・レヴュー」誌と「エスクァイア」誌に短篇小説を発表するいっぽう、新聞に記事を寄稿。1981年、待望の第1長篇である『ほかの惑星への気楽な旅』を発表した

中村融[ナカムラトオル]
1960年生まれ。翻訳家・アンソロジスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

70
現実でも、SFコメディ『銀河ヒッチハイクガイド』でもイルカは知能が高い生き物だ。この物語は言語学者の女性とイルカのピーターとの血腥さと波打つ水音すらも感じさせるセックスから始まる。だけど人間すらも分かり合えない人は人間よりも分かり合えると思い込んでいたイルカのピーターですらも分かりあえない。自分で入手するかしないかの選択もできずに急激な情報の入手による過飽和で人々はぶっ倒れるしかなく、不安を感じるしかない世界では、他者との理解と関係性に特別性を持たせるセックスすらも救いはない。現在と被るのは逃げ場のなさ。2016/02/05

ヴィオラ

9
ある程度SFを読んでいる人間は、イルカと人間がセックスしたくらいじゃ衝撃はうけません…多分。ストレンジなフィクションなのは十分感じるものの、やっぱりこの文体はダメかも…バロウズとかダメだったしなぁ…。情報病や、南極絡みの世界情勢など、読みたいと思った部分に限ってボンヤリしているもんだから、なんだか欲求不満気味です…(ノ_-。)2013/02/28

すけきよ

8
よくわからないんだけど読み飛ばせず、感じられるのは、突然襲ってくる奇病の発作と核戦争の危機というストレス。常にそれに曝されながらも自分には無関係と振る舞う日常生活。何度も出てくるセックスはすべてが生殖行為ではなく、なんの展望も感じられない。また、それらを背景に、他者をどう見てるか、他者からどう見られてるか、絶対にイコールにならない観点のすり合わせの上に立脚した欺瞞に満ちた社会を描いているのかなぁ。そこから脱するには「ほかの惑星」に行くしかなく、しかし、それを「気楽」と呼ぶのも、また欺瞞なのかもしれない。2013/01/22

ハルト

7
冒頭のイルカとの×××が衝撃的で。でもそれ以上にラストのあれとあれが衝撃的でした。「情報病」が蔓延する世界。もっとSFちっくの話が進むのかと思いきや、SF的要素はさほどでもなく。どちらかというとSF的世界観においてのより確かな他者とのつながりへの希求や、波にただようような世界の不安定さを描いた作品のように思えました。そういう意味では人間ドラマが主筋だったかなと。あの結末で何を示したいのか理解及ばないまま後味は奇妙かつ不可解でも印象に残る。2013/03/13

sezmar

4
久しぶりに、頭に入ってきにくい小説に出くわした。イルカ、恋愛、死、表題作に一般生活に不倫やらなにやら盛り沢山、人間関係の整理に頭が追いつかない……後で読み直す。 2013/02/07

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