河出ブックス
1990年代論

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  • サイズ B6判/ページ数 327p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309625065
  • NDC分類 210.76
  • Cコード C0336

出版社内容情報

現在へつながる転形期を問い直す。70~80年代生まれの書き手による論考・エッセイに加え、鼎談、インタビュー、ブックガイドほか

内容説明

総括されない未決の問題として繰り返し浮上してくる一九九〇年代。私たちの社会と文化はいまだに「九〇年代的なもの」を引きずり続けている。いったいあの時代とはなんだったのか―政治や社会、運動、宗教から、マンガやアニメ、ゲーム、音楽にいたるまで、二〇のジャンルの論考/エッセイを、七〇年代以降生まれの気鋭の論者たちが寄稿。総論的な共同討議、インタビュー、ブックガイド、年表も付す。

目次

死なない九〇年代の歴史化へ―序文にかえて
共同討議 一九九〇年代日本の諸問題
A 社会問題編(社会 終わらざる「社会」の選択―「一九九〇年代」の散乱と回帰;政治 「敵対の政治」と「忖度の政治」の源流―獲得された手段、失われた目的;労働 安定からやりがいへ―「やりがい搾取」のタネは九〇年代にまかれた;家族 「平凡」と「普通」が乖離した時代;運動 リスカでバンギャで右翼な青春 ほか)
B 文化状況編(アニメ 一九九〇年代アニメ、複数形の記述で;映像 「ポスト日本映画」の起源としての九〇年代;ゲーム 排除のゲーム史;テレビ フロンティアとしての深夜帯;マンガ/女性編 「すべての仕事は売春である」に匹敵する一行を思いつかなかった ほか)

著者等紹介

大澤聡[オオサワサトシ]
1978年生まれ。批評家。近畿大学文芸学部准教授。専門はメディア論/思想史。博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

72
阪神淡路大震災、オウム事件などの90年代を各テーマ別にまとめたアンソロジー。各自の体験や考察などで物足りないところもあるが、一冊にまとめてあり、好きなところから軽く読める。東浩紀「祭は、毎年同じプログラムで、同じ屋台がやってくるから『安心』なんです。人びとが求めているのはそうした反復なんですよ。そこでからこそ経済が回る。そこに社会が気づいてしまった。書き手もいまや同じものを書きつづけられないと成功しない。エンタメの場合はそれが徹底してきている。漫画もいまや連載をやめられない。」あー、非常に納得……2018/09/27

ころこ

39
90年代論は執筆者にとっても、読者にとっても、各々の価値観によって他のディケイドよりも捉え難いと感じるでしょう。①80年代からの断絶か継続か、②ゼロ年代への継続か断絶か、そのどちらと捉えるかによって、評価が変わってきます。それは、90年代の構造が現在にも残存していて、現在の社会の価値観に大きく依存するからでしょう。編者は、①80年代からは断絶しており、②ゼロ年代へは継続しているとみています。前半に、今日的な問題意識と90年代との距離がとれていない論考が目立ちます。それらが社会学系の大学教員の文章であり、デ2019/06/09

小鈴

21
仁平典宏「終わらざる『社会』の選択--『1990年代』の散乱と回帰」(55-70)。さすが仁平さんである。よく聞かれる「社会の終演」説。共通の物語の基盤を欠いたまま諸個人は共約不可能な物語を生きるようになった、という説だ。仁平氏は意識調査や新聞記事DBから同質的な社会、平等な社会が終焉していないこと、規範的な社会が終焉どころか濃厚になっていくことを見事に示す。図1ナショナリズムの諸側面に対する時代の限界効果は必見。安易な時代論に流されないための必読論文です。2017/10/14

たばかる

18
2017年初版と割と新しい。大枠に社会問題編と文化状況編にわけそれぞれ論考とエッセイが組まれる。巻末には90年代特集ガイドと称して書籍の紹介がつらつらとなされていて参考になる。大体はきつい批判なので身を入れすぎて読むと気分が落ちる。様々な観点がある分、90年代は助長、停滞、抑制等それぞれの見方ができる。ただし90年代から現在まで何か好転したものがあるかといえば、口をつぐむしかないのか。2019/09/11

かんがく

14
現代史、戦後史、平成史といったテーマの本は多数読んできたが、90年代縛りは初めて。同じ時代を扱っていても枠組みが違うと印象は変わる。私は1995年生まれなので、90年代を生きていながら記憶はほぼない。政治からゲームまで様々なテーマに分けて章が構成されているが、冷戦と55年体制とバブルが終わった後の、暗くて空虚な時代という印象が強い。90年代以降は80年代までに生まれたものの再生産という主張が中心を占めていて、現代を生きる人間としては反発したい気持ちと納得してしまう気持ちが半々。2023/01/08

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