出版社内容情報
真理追求の純粋さとはうらはらに、きわめて「人間的な」営みでもある科学。さまざまな欲望がうずまく現在進行形の現場を活写。
【著者紹介】
1965年生まれ。ロンドン大学神経学研究所リサーチフェローを経て、東京大学大学院医学系研究科准教授(認知神経科学)。ヒトの心の働きの脳内メカニズムを脳画像を用いて研究。『心の脳科学』ほか。
内容説明
ノーベル賞をはじめとする輝かしい成果と、研究不正などの頭の痛い諸問題―。現代科学は、真理を追究する純粋な学問であると同時に、競争、出世、生活、金、権力といった生臭い要素がからみ合う、きわめて「人間的な」営みでもある。個人としての研究者、集団としての研究組織、それを取り巻く社会という三つの視点から、光と影をあわせ持つ生々しい現実を浮き彫りにする。
目次
第1章 現代科学業界事件簿
第2章 科学とはそもそも何か
第3章 研究者は何を思うのか
第4章 研究者は組織の掟に従う
第5章 社会が変われば科学も変わる
第6章 科学はどこへ行くのか
著者等紹介
坂井克之[サカイカツユキ]
1965年、兵庫県生まれ。医学博士。総合内科専門医。ロンドン大学神経学研究所リサーチフェローを経て、東京大学大学院医学系研究科准教授(2014年退職)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Phai
4
研究者を取り巻く実情を中立的に示した良書。本来科学はこの世の真理を探求する試みであるものの、自分自身や周囲の研究者の生活のため、社会の需要に対応するため、といった別の動機があまりに手ひどく入ってしまうと、本来の科学のあり方から離れてしまい、それが研究不正という形で顕になるのだと思います。本書では筆者の専攻である自然科学が対象にされていましたが、社会科学についても当てはまるように思います。2017/03/04
おだまん
2
そうそう、現場は組織なのよね。科学的ではない。2015/05/04
FuSa
1
一文一文かみしめながら読んだのでいつもより時間がかかった。自分の現状も客観視しつつ、もう1、2回読んでもっとじっくり考えたい。2015/05/23
ソーシャ
1
人間が営む活動としての科学の現実を語った本。医学生物学系の話題を中心に、科学者を取り巻く環境の変化や、研究者の政治家としての活動など、一般にイメージされているものとは異なる、よくも悪くも人間的な科学の現場の実情がわかりやすく説明されています。科学研究の現場とはどのようなものなのかを知りたい人にはお勧めできる本ですね。2015/03/20
かんな
0
「科学は権威ではない」(^_^;)とてもそうは思えません。2015/04/29