内容説明
人類学を刷新しただけでなく、二十世紀後半の思想の流れを根底から変えた巨人・レヴィ=ストロース。神話、家、仮面、自己などの重要な主題をめぐりつつ、生涯をかけて他者を探求し、かぎりなく他者に開かれつづけた、その「まなざし」を問う中から、「漂泊の思想家」という新しい姿を描き出し、さらに人類学の最前線へ向かう。いままでになかったレヴィ=ストロース入門にして、レヴィ=ストロース論の決定版。
目次
1 神話への旅―移動する普遍(海の上の構造主義;仮面と地震;旅する「家」)
2 他者への回帰(遠いまなざし;「モンテーニュ再読」;Topsy‐turvydom)
3 現代のシャーマン(パースペクティヴィズムと遠いまなざし―レヴィ=ストロースと現代の人類学)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
12
この方について書かれた本にしては、比較的読みやすく、興味深く読むことができた。それでも、充分に理解できたかと問われると怪しいが・・・。古代文化の共通性のところ、面白かったです。ただ著作が入手困難なものが多く、そのあたりが相変わらずの悩みどころ。また、読んでも理解できない部分のほうが多そう。それでも文献にあたってみたい。2012/10/08
Kan T.
1
第7章「パースペクティヴィズムと遠いまなざし」 レヴィ=ストロースの「遠いまなざし」をヴィヴェイロス=デ=カストロ、ウィラースレフ、ピダーセンらの議論につなぎつつ、その今なお光る価値を明らかにする。2021/05/12
ルンブマ
1
中国独特の反り上がった屋根は、カンディンスキーの解釈では「空中に融けようとする様」(建築と大気の融合)を表しているとされるが、これはレヴィの「砂時計型形象論」と何か関係があるのだろうか。そういえば、警察官の手信号の黄色も砂時計型形象=外ハネで交差点を宥める。2020/11/04
Sherlock
1
レヴィ=ストロース以後の展開も触れられている本。2017/11/17
nitti
1
わかったような全くわからなかったような。レヴィ=ストロースを知らずに読むにはレベルが高かった。構造主義自体には興味があるのでもう少し入門書をよんでみようと思う。 先住民族の神話や慣習は面白い。ハムレットをティヴ民族に紹介した際に全く違うストーリーとなったという文化による解釈の違いというボハナンのエピソードが面白い。2017/09/18