河出ブックス
スパイ・爆撃・監視カメラ―人が人を信じないということ

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  • サイズ B6判/ページ数 236p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309624259
  • NDC分類 361.4
  • Cコード C0336

内容説明

他者を信じられなくなると、何が起こるか―。左翼の地下活動から、無差別爆撃、近年のセキュリティ技術までを一筋に描いてみせる、かつてない社会史。

目次

第1部 スパイの時代―仲間は私を裏切るかもしれない(秘密組織の「手工業」―指紋・尾行・街頭連絡;都市の敗北―顧順章事件)
第2部 「みなごろし」の時代―やつらは人間ではない(飛行機と空爆―虚空のかなた、見えない敵;目の前の標的―誰が敵で、誰が味方なのか)
第3部 プライベート・セキュリティの時代―信じなかったのは、私ではない(戦争の民営化―あるいは兵士の非人間化;監視と選別―リスクを未然に排除する;不信を断ち切る力―半分だけの思考停止)

著者等紹介

永井良和[ナガイヨシカズ]
一九六〇年、兵庫県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程学修退学。現在、関西大学社会学部教授(都市社会学・大衆文化論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小野妹子

3
監視社会のレポートのために読んだ本。国対国の見える戦争から、いつどこで発生するかわからないテロへと戦う相手が変化したことで、人間の間には不信が横たわるようになったという。漠然とだが、確かに以前より怪しい人に対して敏感になったように感じる。私たちは全ての技術を使う必要はないという主張はもっともである。2015/07/31

roughfractus02

2
関東大震災後に米国から帰国した映画俳優上山草人は東京人が互いの顔を直視する様に戸惑ったという。素人が写真を撮り、ショーウィンドウに姿を映し、探偵小説が犯人の顔を描写する背景には、共同体が衰退し地方や国外から見知らぬ他者が隣に住む空間の再編があった。本書は、他者への視線が人間から機械に移行し監視が強化される様を、ゴッフマンの「ふつうの外見」なる概念をもとに、共産党での他者関係、そして機械でのランドサット画像からATMの監視カメラへと展開する。この「外見」は攻撃しない意図を攻撃する可能性を提示しつつ伝える。2017/04/13

Mitz

2
大学の卒業論文に『監視社会イギリスにみる人種差別』というテーマを選び色々と調べた経験があったので、‘人が人を信じないということ’という副題に惹かれ手にとった。しかし題名の‘スパイ’‘爆撃’‘監視カメラ’を繋ぐ‘・’の通り、それぞれのテーマが独立しているため、全体としての印象が非常に薄い。特に第一~二章の左翼の地下活動についての記述は、「なぜここまで?」と思う程内容が細かい。諜報・監視についての一般論、社会学的・歴史的考察に重きを置いていれば、もっと興味深い内容になっていただろうと思う。ちょっと残念だった。2013/04/04

かず

1
副題の「人が人を信じないということ」に惹かれて読みましたが、これに関することは1/3ほどで、全体的には、相互にあまり関係のないスパイと爆撃に関しての話が1冊にまとめられていて、まとまりがない感じ。脅威を前提として可能な限り対策を講じていくと、仮想的な被害者たる「自分達」と脅威をもたらす「やつら」を想定せざるを得ず、そうすることによって、社会やコミュニティの連帯が細分化され、結びつきも希薄化してしまう。その結果、仮想的な脅威の設定が不寛容さを助長し、仮装の脅威が現実化してしまうように考えています。2011/07/17

coolflat

0
第1部はスパイの話。反体制を取り締まるために、指紋による個人識別、尾行、拷問などの技術で取り締まるシステムを確立していくが、そこに限界が生じていく。そこで、運動組織にスパイを送り込んだり、内部の人間をスパイに転向させる手法を使っていく。この手法は非常に有効で、組織にスパイがいるかもしれないという疑いを抱くだけで、組織の結束は危機に直面する。2012/07/17

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