河出ブックス
近代都市パリの誕生―鉄道・メトロ時代の熱狂

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  • サイズ B6判/ページ数 243p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309624174
  • NDC分類 686.235
  • Cコード C0351

内容説明

かつて人々が鉄道に夢を託し熱狂した時代があった。それは変化を求める人々の高揚感が社会を支配した、文明史の一つの高潮期であった。鉄道はその姿形によって、人々を無邪気に興奮させただけではない。従来の国土政策や経済社会の仕組みにさまざまな変革をもたらしながら、物質社会の繁栄を生み出した。官vs民、サン=シモン主義者vsフーリエ主義者、地下vs高架、蒸気vs電気、エンジニアvs建築家―鉄道整備をめぐって浮き彫りとなったさまざまな葛藤の歴史を経て、パリは初めて現在のような都市としての個性を獲得するのである。

目次

序章 パリ、都市と鉄道の一九世紀
第1章 サン=シモン主義者の鉄道網構想―ユートピアから現実へ
第2章 駅をめぐる都市論争―パリ近代化への挑戦
第3章 メトロ網構想と政治の戦い―第三共和制下の国と地方の対立
第4章 地下メトロvs高架メトロ―衝突する未来のイメージ
終章 一九世紀から二〇世紀へ

著者等紹介

北河大次郎[キタガワダイジロウ]
1969年生まれ。東京大学工学部卒業後、フランスのエコール・ナショナル・デ・ポンゼショッセで修士号および博士号取得。文化庁文化財調査官、パリ大学客員講師等を経て、現在、イタリアに所在する国際機関イクロム(文化財保存修復研究国際センター)に勤務。1998年、土木学会論文奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ラウリスタ~

13
一風変わったパリ本。フランス国立土木学校に提出された博論(パリと東京の鉄道網発展研究)をもとに、鉄道とメトロの敷設からパリという都市の変遷を読み解く。フランスのエンジニアは専門家(実務)というよりも理論、思想に基づくジェネラリスト(ユートピアを目指すサンシモン派の流れ)。彼らが都市、国家設計に大きく関わる。鉄道(パリの周縁部に終着駅)とメトロ(都市内部のみ)は国と市の対立関係。相互乗り入れさせないように設計(メトロはトンネルが狭い)。メトロは空中案と地下案が検討され95パーセントは後者に、=地下鉄ではない2020/09/09

Mealla0v0

5
フランスの鉄道を牽引したのは、サン=シモン主義者たちであった。土木学校に集結した彼らは、流れという概念を重視し、その流れの織り成すネットワークという考え方を実践しようとした。サン=シモン主義者はパリを中心とした鉄道ネットワークをつくろうと考えた。無論、それには困難が伴った。駅や路線の建設は伝統的な街並み・景観を損ねるものであると論難される一方で、それは旧態依然とした社会に対する闘争という面を併せ持った。さらに闘争は別の層では、市民対国家権力という局面も構成していた。国家を市内に入れるなという闘いである。2022/11/10

月世界旅行したい

5
今でこそ保全などが優先されることが多くなった都市も当時は最先端だった。今の最先端はどこの都市だろうか?2014/12/12

嘴細鴉

2
 メトロを国家の中枢パリの交通機関と位置づけ設計する国と,パリ市民の足と位置づける市当局。高架メトロ派,地下メトロ派のエンジニアたち。様々な陣営の綱引きの結果たどり着いたマスタープランからパリのメトロが生まれた。最終的マスタープランは,力の微妙なバランスから生まれた偶然の産物の観もあるが,それに到達するまで考え抜かれたことは間違いなく,実現されたパリメトロは,日本の地下鉄にない,美しさを感じる。2010/07/25

May

1
レポートのためにざっと読み。東京とは違うパリの鉄道に興味がある人はぜひ。2014/05/08

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