河出ブックス
聖母マリア崇拝の謎―「見えない宗教」の人類学

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309624167
  • NDC分類 192.8
  • Cコード C0316

出版社内容情報

禁じられても広がり続けてきた聖母マリアへの深い崇敬。現在もマリアは「出現」し、全世界で奇跡を起こしている。マリア現象とは何か? キリスト教のはらむ矛盾を明らかにしながら、今後を読み解く画期的な論考。

内容説明

人類の歴史をとおして、おそらく聖母マリアほどに、あらゆる時代を超え、民族を超え、人びとの心をとらえた母なるものは存在しない。キリスト教の起源にさかのぼる「神の母」論争、古代ケルト以来、西欧社会の古層に黒いマリアとして封印され、マグダラのマリアとして押し込められ、カオスのように広がりつづけてきた「見えない宗教」としてのマリア崇拝。二つの視点から「謎」の解明に迫る。

目次

今、なぜ聖母マリアなのか―歴史の揺らぎの中から
第1部 聖母マリアの源流を探る―古代オリエントの地母神から(聖なる花嫁―旧約聖書『雅歌』;豊穣と勝利の女神―ウガリット神話;祝婚の花嫁と悲嘆の花嫁―アドニス神話から;バァール宗教とヤハウェ宗教)
第2部 聖母マリアとマグダラのマリア(聖母マリアの誕生―新約聖書『福音書』から;マリア学の形成;黒いマリア―「わたしは黒いけれども美しい」(雅歌1:5)
マリアの出現)

著者等紹介

山形孝夫[ヤマガタタカオ]
1932年生まれ。東北大学文学部卒業。同大学院博士課程修了。宮城学院女子大学教授、学長を歴任し、現在同大学名誉教授。専攻は宗教人類学。『砂漠の修道院』(平凡社)で日本エッセイストクラブ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

71
プロテスタントにおけるマリアの存在はキリストの母なるものという位置付けであり、崇拝対象ではないという前提のもとで読みました。マリア崇拝というカトリック独特の風習は母なるものという畏敬の念が大きいと思います。それは「崇拝」というより「崇敬」という想いの方が強いでしょう。マリアというだけで封印された歴史もあり、再び現れたマリア。聖母として唱われながらも、その本来の姿は謎めいているところは興味深いところです。2016/11/21

bapaksejahtera

11
神の子の産みの母は神ではなく借腹に過ぎぬのか。聖書群のどこにも記述されない三位一体の欺瞞は、ユダヤ教から引継いだ西欧キリスト教的男性原理による弥縫策に過ぎない。大衆が歴史的に求め縋った豊穣の地母神はマリア崇拝として根強く生き残り復活した。本書では近代になって発掘された様々なキリスト教外典文書等に基づき4,5世紀の諸公会議で隠蔽されたイエス並びに彼を無原罪のみごもりにより生を与えたマリアを巡る言説を探り出す。さらにガリアの地に今尚数多く祀られる黒いマリアとケルトの地母神についても論及する。頗る刺激的である。2021/10/28

amanon

3
概ね興味深く読めたが、前半における旧約聖書に認められるマリアの原型についての記述は、正直言ってかなり退屈だった。それはともかくとして、キリスト教が硬直化したユダヤ教の家父長的な一神教的要素を強める緩和在的な役割をマリア信仰が担っているという点は特に興味深い。ただ、文化人類学的に見て、そういう見解がありだとして、カトリックの立場からすると、こういう見解はどう扱うべきなのか?というのも気になるところ。後、世界各地でマリアが現れ、奇跡を起こしたという報告も解釈に困るところ。これは学問が介入できる領域ではないな。2012/01/24

Narr

2
宗教含め、文化が混濁していく様の面白さ。見えない所で生き抜いてきた文化が、自分の目の前にどんと立ち現れるのは熱いものを感じる。

onepei

0
ところどころおもしろかったが、読みづらく感じられた。2010/05/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/363801
  • ご注意事項