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河出ブックス
永山則夫―ある表現者の使命

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  • サイズ B6判/ページ数 213p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309624150
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0395

出版社内容情報

獄中で文字を学び、多くの著作を書いて処刑された「連続射殺魔」永山にとって「表現」とは何か。はじめて永山の「表現」のすべてと向きあいつつ、犯罪、死刑、そして文学を根底から問いかえす。

内容説明

一九六九年、「連続射殺魔」永山則夫は一九歳で逮捕、獄中で文字を学び、膨大な書物を読む中から、ノート『無知の涙』、小説『木橋』、『捨て子ごっこ』などを執筆して社会に衝撃を与えながら、一九九七年に処刑された。永山にとって「表現」とは何だったのか。その著作は何を問いかけるのか。そして永山の「使命」とは何か。はじめて永山の「表現」のすべてと向きあいつつ、犯罪、死刑、そして文学を根底から問い返す果敢にして真摯な試み。

目次

第1章 永山事件とは何だったのか(永山が起こした四つの射殺事件;逮捕された永山則夫 ほか)
第2章 夢のリミット?―遺作『華』の世界をめぐって(獄中と獄外のアイデンティティ;遺稿小説『華』のはじまり ほか)
第3章 表現者の「使命」―一九八〇年代の永山則夫(網走と永山則夫―「なぜか、アバシリ」をめぐって;「暗い疲れ」のリアリティ―「捨て子ごっこ」をめぐって1 ほか)
第4章 寺山修司と永山則夫―『反―寺山修司論』をめぐって(転機としての『反―寺山修司論』;永山と同一化する寺山修司 ほか)
第5章 模倣と逸脱、あるいはプロトコルとしての『無知の涙』(永山則夫における模倣と逸脱;詩の模倣からはじまった『無知の涙』 ほか)

著者等紹介

細見和之[ホソミカズユキ]
1962年、兵庫県生まれ。大阪府立大学人間社会学部教授。詩人、ドイツ思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

寛生

53
【図書館】母親に捨てられた子ー永山則夫は、死刑囚として獄中で書き手となる。自らの傷痕を記述していく書き手、永山則夫。カラマーゾフの「アリョーシャのように愛し愛されたい」という自らの渇きは、獄中の生活の中で膨大な数の書物を読むことにより気づかされに違いない。それに比例するようにして、膨大な数の原稿が生まれる。捨てられた母親に向い、永山は「加害ー被害という関係を超えたまなざし」(183)をもって「おふくろは、オレを三回捨てた」という。ヨハネでイエスがペテロに三度「あなたは私を愛しますか」と訊く所とを思う。2014/05/06

Maiラピ

6
永山則夫、この人に関する本はだいたい読んでいると思うが、彼の生い立ち、起こした事件、作家として文筆活動、急な死刑執行の意図、そして死刑の基準となっている彼の名が冠された永山基準。どれもセンセーショナルゆえに未だに映画・ドラマ、TVの特集が作られ、彼に関する書籍は毎年何冊も出版される。見田先生の<まなざしの地獄>も今年再販されたものを読んだばかり。こういう人は後にも先にも・・・津山事件を超えてるよね。生きてたらまだまだ作品も残せたし、作家・ジャーナリスト・読者等にいろいろ刺激を与えてくれたかも。2010/06/02

Sansan Nag

3
永山則夫という死刑囚を生み出したのは資本主義社会の歪みの一端として本人は捉えているのかもしれない、仮にそうだとしても、より残念なのは救済保護の制度や仕組みがあっても必要な子供に届かないこと。それは現代でも共通。本書の内容からは乖離するかもしれないが、貧富の差、家庭環境の差によらず子供の可能性が閉ざされない社会であってほしい。2024/02/05

Terry Knoll

3
連続射殺事件(1968)の犯人(当時19歳)永山則夫は獄中から小説等を発表、文学賞受賞し文壇でも評価されました。 永山則夫の評論集です。 神戸連続殺傷事件が起きた1997年に死刑執行 極貧生活から家族離散、まともな教育をうけていない永山は、獄中で読書に浸り原稿用紙を埋めるようになる。 もともと文才があったのか?犯罪という経験をへて心境や思考が変わったのか?  知りたいです。2015/11/09

ポカホンタス

3
寺山修司と永山則夫との関係を知りたくて読んだ。わかりやすく、かつスリリングにまとめられていて役立った。あの犯罪は、寺山の想像力と永山の人生との合作であった、という指摘は大胆だが、説得力があると思った。永山はアリョーシャのような存在を求めていたのではないか、という解釈もよくわかった。内容はさておき、この本自体、ある編集者から10年越しで著者に誘いかけられていたとのこと。この編集者は永山に本を書かせた張本人の一人でもあると知り、どこまで永山をしゃぶりつくせば気が済むのか、とその編集者に言ってやりたくなった。2013/11/17

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