河出ブックス
「格差」の戦後史―階級社会 日本の履歴書

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  • サイズ B6判/ページ数 229p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309624037
  • NDC分類 361.8
  • Cコード C0336

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出版社内容情報

格差/貧困論議には長期的な視野が欠けている。様々なデータを駆使し、各年代を象徴する事件や出来事を交えつつ、敗戦直後から現在に至る格差と階級構造の歴史的変遷を描く。日本社会論必携。

内容説明

高度経済成長以降、完全に忘れられていた格差と貧困の問題が噴き出している昨今、日本人は社会科学的思考に目覚めはじめたと言える。しかし、格差には多様な側面がある。戦後六十数年の間に、どのような格差の拡大や縮小があったのか―。さまざまなデータを駆使し、各年代を象徴する事件や出来事を交えながら、敗戦直後から現在にいたる格差と階級構造の歴史的変遷を描く。

目次

序章 舞台装置は階級構造―「フィガロの結婚」と「天国と地獄」をめぐって
第1章 格差をどうとらえるか
第2章 格差縮小から格差拡大へ―戦後日本のメガトレンド
第3章 貧しさからの出発―敗戦から一九五〇年まで
第4章 「もはや戦後ではない」―一九五〇年代
第5章 青春時代の格差社会―一九六〇年代
第6章 「一億総中流」のなかの格差―一九七〇年代
第7章 格差拡大の始まり―一九八〇年代
第8章 日本社会の再編成―一九九〇年代
第9章 新しい階級社会の形成―二〇〇〇年代

著者等紹介

橋本健二[ハシモトケンジ]
1959年、石川県生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。静岡大学助教授を経て、武蔵大学社会学部教授(社会学)。データを駆使して日本社会の階級構造を浮き彫りにする。「居酒屋考現学」を提唱(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takashi1982

6
戦後から現在までを10年単位で区切った上でどのような「格差論」が展開されていたかを分析するメタ理論的な著作。「階級」概念がマルクス主義的文脈で使われているのを認めつつも、敢えて「階級」概念を分析枠組みとして持ち出すことで、それぞれの階級がどのような階級間移動や所得変化が起こったかを分析している。今までの階級論争を俯瞰しつつ、データを駆使して客観的に分析した好著。2010/02/01

Wataru Hoshii

6
戦後日本社会を「階級」という分析枠組みで見るとどのように変動していたかを、社会調査データに立脚して明快に示す労作。実は、いま流行りの「格差社会」という言葉も、かつての「一億総中流」という言葉と同様に、日本社会の階級性を隠蔽しているのではないだろうか。あたかも個人間のもののように思われる「格差」とは、実は階級間の資源の差に他ならない。社会科学的思考とは、そういう認識を得ることである。正社員は派遣社員を搾取しているという指摘は厳しいが正鵠を射ている。2010/02/01

takizawa

6
年収をベースにした経済格差の指標・貧困率の指標を用いて、戦後の格差拡大を分析している。近年の格差拡大は、非正規労働者の出現によるところが大きい。ただし、一億総中流といっても、80年代半ばから疑義は投げ掛けられていて、ベストセラーとなった『金魂巻』ではエリート間格差が指摘されている(消費パターンそのものは似通っているのに、中身や単価が異なる「階層消費」の現れ)。私は、中流意識は女性や大卒以外の男性を下位に貶めることで成り立っていた薄弱なものだったんじゃないかと思っているんだけど。裏取れず。2009/11/19

ukpp

4
一億総中流意識は、女性の労働者が低賃金に置かれていることを、社会的な問題として認識させなかった。が、それが非正規雇用という形で、男性(とりわけ青年層)へと拡大していくことで、社会的な問題として眼前に現れた。そのような格差を解消する実効性のある政策は、未だ十分には具体化されていない。今も2010/03/08

midnightbluesky

3
阪神大震災格差についての記述は、東日本大震災の復興のポイントにもなってくると思われる。格差と災害は無縁のように思われるが、実は表裏一体であることがわかる。しかし、天災にも格差って・・・。2011/04/13

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