内容説明
僕たちは探険隊みたいだ―「離婚」という日本ではまだ未知の領域を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
44
『ウホッホ探険隊』が、小川洋子さんのラジオ番組で取り上げられたのを聞いて。1983年発表の本作は、離婚を機に家族が新しい出発をするという物語。当時、離婚はまだ少数で家族の解体とか家庭の崩壊という暗いイメージでとらえられていた。しかし、この作品は離婚という未知の領域を探険する・・・そんな意味でタイトルを付けたとても新しい小説だった。干刈あがたさんは、人と人との関係を決して対立構図としない、人間存在への信頼に基づいた作品を書いた作家だった。ペンネームも「光よ、あがた(辺境)にも届け」という希いから生まれた。2020/10/23
kenitirokikuti
2
ウホッホは芥川賞を逃した作品(高樹のぶ子が受賞したそうな)。離婚のお話だが、母と幼い息子たちとのやり取りがメインで、大事件などが起こったりせず、さらっと終わる。E.Tをやってた頃で、次はクラッシャージョーがいい、とお坊ちゃんが言う。中島梓『我が心のフラッシュマン』を思い出した。昭和のお母さんなので、キッズちゃんの内面に夫を投影してるように感じられた。2016/10/15
還暦院erk
1
この本の題名を見て、とぼけた民族学教授(?)と弟子の少年2人くらいが出てくるほのぼの冒険譚だ、と思いこんで昔図書館で借りたのだった…が、内容は「離婚」という未踏の地に踏み込む親子の物語だった。久々に再読、読了。表題作「ウホッホ探検隊」はとても心に沁みたが、「月曜日の兄弟」の方はまとまりがいまいちかなぁ。それにしても、いつの間にかわたしは干刈さんの享年を超えてしまったことだ。ううむ。2012/03/23