出版社内容情報
作文とはウソを書くことである! 学校では教えられない、「ふつうでない」作文のすすめ。いつまでみんなと同じこと書いてるの?
【著者紹介】
1955年生まれ。早稲田大学教育学部・総合科学学術院教授(日本近代文学)。『読者はどこにいるのか』『受験国語が君を救う!』『教養としての大学受験国語』『『こころ』で読みなおす漱石文学』など。
内容説明
いつまでみんなと同じこと書いてるの?個性的に見える書き方を、こっそり教えよう。作文とは、上手にウソをつくことである!学校空間につぶされないための、ふつうでない作文のすすめ。
目次
第1章 「自由に書きなさい」のウソ
第2章 作文とはウソをつくことである
第3章 「私は自由ではない」から出発する
第4章 「客観的」な立場はない
第5章 君は「ウォークマン」を知っているか
第6章 個性的な作文に見える方法を教えよう
第7章 二項対立で書いてみる
第8章 「多様性」は思考停止のマジックワード
第9章 『坊っちゃん』の読書感想文を書く
付録 『坊っちゃん』
著者等紹介
石原千秋[イシハラチアキ]
1955年生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は日本近代文学。夏目漱石から村上春樹まで、小説を斬新な視点から読んでいく仕事に定評がある。最近まで国語教科書の編集委員を長年務め、「受験国語」の解き方に関する本も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
74
小中校の作文の授業の罠を暴き、その裏をかいて個性的に見えるためのテクニックを教えるヤングアダルト向けエッセイ。「感じたまま思った通り自由に書く」という建前があるが、実際には無難で型どおりの道徳的な意見しか高得点できないようになっていると断言する、長年大学で教員をしている著者。読み手を意識する「大人」の文章の書き方を例文を出して論じる。薄々感じていたことが多いが、きちんと論じていくことに感心する。最後に著者の専門である漱石研究から坊っちゃんの感想文や読解の例があげてある。良書。基本的な内容だが大人にも効く。2018/05/09
☆よいこ
54
早稲田大学教授による作文哲学。14歳の世渡り術シリーズだけど中学生には難解、高校生もしくは大学生におすすめしたい。「文学の神は細部に宿る」という。[①「自由に書きなさい」のウソ]時と場所をわきまえた作文を書くこと。読者を意識すること[②作文とはウソをつくことである]学校空間は道徳が好き。その上であえて個性的な文章を書くには。[③「私は自由はない」から出発する]ウソがヒトを人間にする。[④「客観的」な立場はない][⑤君は「ウォークマン」を知っているか][⑥個性的な作文に見える方法を教えよう]>2019/11/21
りょうみや
19
日本の学校・入試における良い作文の書き方を、自分とはなにか、個性とは作るものと哲学的に結びつけている深い内容だった。日本の作文(国語)は道徳なので、思ったことを本当にそのまま書いてはいけない、嘘をつくことが必要とまずハッキリ言っていることが驚くとともに、やはりとも思わせる。良い作文を書くことは自分を作ることとほぼ同義で、当たり前のことを無難に書いても面白くはないので、道徳の範囲内で対立しなければいけない。それがすなわち個性とも言える。著者の本は2冊目だがもっと読んでみたくなった。2020/06/29
joyjoy
9
これは、中高生に読んでほしい。大人の自分、読者を意識して、ウソの作文ばかり書いているかも。それがイヤになる、という作文も書いたことある。でも、書くことをとおして、少なくとも、考える。考えるためにも、書くことを大事にしたい。 読書感想文について、「そもそも、『感想』は君たちの人生そのものなのだから、それを教員が受け止める権利も義務も責任もないと思っている。『感想』をきちんと受け止められるのは、その人を愛しているときだけだ」という箇所が印象深い。2022/09/13
パンジャビ
6
万人受けはしないだろうけど、こーゆー14歳向けの本があるらしい。後半が面白かったな。現役の子供(?)が読んで役立つのかは興味あるところ➡︎教室で採用されるたった1つの読みの枠組みは「道徳的であること」他人からの批判をそのまま相手に投げ返す方法(開き直り作戦)=脱構築というそう。相手の批判につられて自分の議論の土俵から降りてはいけない。読書感想文は人物評価であり、思想調査。作品のまとめ→作品評価→自分がどう受け止めたかを肯定的に。嘘でも肯定的に。そして作品の仕掛けを暴くとぐっと高級な感想文に。2019/02/23