内容説明
「平和」をもっと広告しなければ、戦争は終わらない。利用される少年兵、悲惨な虐殺、国家の破綻。泥沼化した現場で紛争解決を指揮してきた著者による、新しい平和構築法。
目次
序章 「紛争屋」への道
第1章 シエラレオネの内戦
第2章 利用される少年兵
第3章 武装解除の指揮をとる
第4章 国連の「保護する責任」
第5章 矛盾する人道主義
第6章 平和を獲得する新しいメソッド
著者等紹介
伊勢崎賢治[イセザキケンジ]
1957年東京都生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。インド留学中、現地スラム街の住民運動に携わる。国際NGOに身を置きアフリカ各地で活動後、東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンで武装解除を指揮。現在、東京外国語大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
91
図書館本 平和ってつまるところ信用や信頼なのだと理解。 暴力に魅了されて溺れていく少年兵はなんだか日本国内の凶悪少年犯罪者と重なってきました。ほら…、国内の少年犯罪者って本書の少年兵と同じように暴力に魅了されながらも社会から厳重に保護されて被害者と比較して豊かな生活していますし。 国内でも最近変な通り魔的犯罪が増えてきました。国内の信用信頼が薄れてきたからでしょうか?2021/10/16
空猫
29
お気に入りさんのレビューから「紛争屋・伊勢崎賢治」の名を知り、手始めに入門編から。表紙にあるように「武装解除人」の方が適当か。国同士の戦争は現在無いがまだ内戦や難民は存在する。それを解決、保護する仕事だそう。ルワンダの大虐殺やシエラレオネの少年兵による残虐行為、最近もあったインドネシア軍の武力弾圧、アルカイダによるテロまで分かりやすく解説してあります。…人類共通の「正義」とは何でしょうか(p102)'09年出版時の本作に憲法9条の重要性を力説してあったので改正後の著作も読んでみるつもりです。2017/09/24
ポテンヒット
11
シエラレオネの少年兵の話は辛いし、結末も納得し難いものがある。正義は別の角度から見れば蛮行になる。でも、宗教や人種、民族に関わらず、人を殺さないというのは人間としての前提ではないのか。憲法9条や平和を宣伝し、儲かる仕組みを作るというのは逆転の発想で面白い。著者は現在は大学で教えながらジャズトランペッターとしても活躍されているそう。2023/01/07
kitten
10
図書館本。娘の平和教育本の一つ。悲惨な状況になったシオラレオネの内戦と、武装解除。なんとか和平にこぎつけた結果、極悪非道なことをさせられていた元子供兵が方が普通の子供達より手厚く保護される逆転現象が印象的。あとは、平和憲法9条の話。もっと活用することで、日本はもっと世界に平和的な貢献ができる。逆にアメリカに追従してばかりだと、テロリストの標的になりかねない。2018/08/04
紗々
9
著者のことをはじめて知ったとき「武装解除人?……すごい日本人がいるな…」と思った。そしてたまたま図書館に行ったら、たまたまお目当ての本の隣にこの本があって、気になるトピックも多かったのでさっそく借りた。いままで戦争について、ジャーナリストや人権家、被爆者、トピックにもあったシエラレオネの少年兵の目から読んできた。でも、この本は武装解除人ならではの着眼点で平和構築とは、テロの脅威、戦争をなくすための努力、日本人としてそれらとどう向き合うべきかについて書かれていていままでにない視点で物事を見ることができた。2018/02/17