感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
多聞
1
作品一から読んでいるものの、そもそも古井作品は近作から入ったせいか、どうも初期〜『聖』以前の作品は肌に合わないらしい。収録作の中で、『聖』『栖』『女人』『池沼』の完成度の高さにあたし、じゅんってなっちゃいました。2011/06/25
バーニング
0
『栖』よりは『聖』のほうが好みで(どちらもよくできているが、『栖』の佐枝があまりにも不安定すぎる気がした)後半の短い短編群は「哀原」、「櫟馬」、「赤牛」、「池沼」が好み。小説の筋よりも、語り手の感触や、彼(彼女)の抱えている過去をあぶりだすような演出は、現代の古井に通じるものがある。「櫟馬」は馬事公苑や競馬の話がでてくるので楽しめたし、「赤牛」以降の短編3本は読みながら震えてくる感覚が極上だった。最後の段落にすとん、と落としていくまでの筆運びが本当に見事。そして今日はナガサキの日である。2014/08/09