内容説明
現代インドの矛盾の根を求め、比較史的考察で初めて古代インドを世界史に位置づける。
目次
インダス河の文明
アーリア人の侵入
バラモンの国
領域国家と新興宗教
アレクサンドロスの侵入
最初の統一帝国
諸民族の侵入
クシャーナ朝の支配
南インドの国々
グブタ朝の統一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
牧神の午後
4
現在のインドでも人種・言語・宗教のるつぼと化してて、その歴史的背景、なんて紐解けるのか?実際判っていないことも多いし、そもそもイベントの年すら判らないこともある。おまけにカースト制で身分断絶も激しいと来てる。世界史の教科書でもインダス文明、アショカ、カニショカでお茶濁す程度だし。いや、実際網羅的に記述しようという筆者の心意気や良し、なんだけどやっぱりカオス。2018/08/30
じょあん
3
インドのイランやメソポタミア文明とのつながりが解説されていて首肯することが多かった。聖典や文学も取り上げられているので、『リグ・ヴェーダ』や『マハーバーラタ』・『ラーマーヤナ』、『シャクンタラー』などを読みたくなった。2023/05/11
富士さん
3
再読。古代史でありながら現代史でもあり得るという、歴史著述が難しい地域を何とか通常の歴史著述として描こうとしていることや、どうしても北インド・中央アジア史になりがちがインド史にあって取りこぼしがちな南インドにも一応言及がるので、その努力は汲まれていいと思いました。考古学や文化人類学だけでなく、金経済圏と銀経済圏の範囲の移動によってヘレニズム圏の勢力拡大を想定するなど、興味深い切り口が使われていて勉強になるのと、ヴァガバド・ギータ―成立と仏教などの発生に至る歴史が分かりやすく整理されているのがよかったです。2018/01/15
マサトク
1
ようやく。しかし、古代インド史はややこしいな。東西からの(この当時は主に西からの)圧力のある土地だというのがよくわかる。また、統一王朝がなかなか長く続かない、というのもな。そのあたりがどれだけ宗教的混乱(というか混沌)に依るものかの具体的なところはもうちょっと勉強しないと分からんのだろうなー。…ということのわかった一冊でした。2021/11/24
路人
1
世界史の教科書というのは、駆け足で見知らぬ世界を網羅的かつ表面的になぞっているから、親しみ難い。まして、基礎知識に乏しい古代インドならなおさらのこと。なるほど、古代の文字が解読されて無いので謎が多く、言語学など駆使しながら歴史を解き明かそうという苦心は感じる。西アジア−ペルシャ、ギリシャ、ローマ-との関係が深い(一方、東アジアとの交流はほとんど見られない)のも解った。ただ本書は、一般読者はもとより、インド在住者に対しても程度が高く、読者を選ぶ専門書との印象。2017/10/29