内容説明
好色、とはいったいどういうことなのであろうか。江戸時代から代々、門外不出で伝わった秘蔵の浮世絵春本のなかで育った著者が、長じて家業の医者を継ぎ、医者の眼で春本を読み直してみた。その結果、これまでの美術史家や文学史家とはちがった新たな発見がなされる。古今東西の性表現と性研究を駆使して、好色の社会的、心理的―つまり人間的発見、見立てを初めて披瀝した快著。
目次
性欲と性感の話
名器の話
浮世絵の話
江戸期の性科学の話
珍具の話
珍薬の話
大きい話
江戸大奥の話
男色の話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
10
この先生、眼科であった。家蔵の浮世絵から江戸性科学の道に入り込んだとのこと。本書はとくに大奥の事情に詳しい。p.159明治新政府の旧来風俗改廃の一環として商家に祀られた陽物張子が永代橋から大川に投げ捨てられた。ところが張子ゆえに沈まない。しかも倒れぬよう下部に重りがつけられていたため、いずれも頭をもたげて波間に漂う壮観を呈した、との逸話。「実に一笑に堪へざる光景なり」と新聞ダネになったという。p.188四つ目屋にて長命丸を商う風景が明治期の高等女学校の教科書に載ってしまった。p.251「お湯殿の子」解説。2020/07/27
澤水月
0
890107