内容説明
ギリシアの数学者ヘロンは、すでに2000年前に自動ドアを作っていた。産業革命の礎となる織機モデルを製作した18世紀フランスの技術者ヴォーカンソンは、笛吹き人形やアヒルの自動人形を作り、人々を警嘆させた。東芝の前身となる日本初の民間機械工場・田中製造所を設立した江戸末期のからくり師田中久重は、からくり儀右衛門の名で親しまれ、自作のからくりで旅興行まで行ない、各地の祭りをにぎわした。想像力を徹底的に遊ばせたとき、遊びは新しい技術を生みだす。本書に展開された遊びの数々は、現代人を快く刺激しないではおかないだろう。
目次
からくり事典―からくりとコンピュータ(マリオネット―糸を通してエネルギーと意志を与えられる人形;ヘロン―からくり仕掛けの元祖;蘇頌の水運渾儀―水車仕街けの天文時計;ヴィラール・ド・オヌクールの天使時計;ストラスブール設計―からくり時計の傑作;竹田近江―からくり人形の開祖;大野弁吉―加賀の平賀源内と称された謎のからくり師;からくり儀右衛門―からくり師から最先端技術者へ;茶運び人形;グロットのプログラム装置;ヴォーカンソンとジャケ・ドロス―ヨーロッパ自動人形の黄金時代)
自動人形その生と死(自動人形―魔術と技術のあわい;デカルトと少女人形;ヴォーカンソンと笛吹き人形;ジャケ=ドロスと筆写人形;江戸からくり;よみがえった茶くみ人形;さまよう人形たち ほか)