出版社内容情報
いまなお新しい思想家の芸術論、メディア論の重要テクストを第一人者が新訳。映画論、写真論、演劇論、シュルレアリスム論等を網羅。
内容説明
二〇世紀最大の思想家ベンヤミンはメディア論・芸術論においてもいまだに最も鮮烈にして核心的な震源であり、いまもその可能性は汲み尽くされていない。「シュルレアリスム」、「写真小史」、「技術的複製可能性の時代の芸術作品」(第二稿)、「生産者としての執筆者」、「叙事的演劇とは何か」、フックス論など重要なテクスト群を第一人者が精選して全面的に訳し下ろした決定版。
目次
夢のキッチュ
公認会計士
ロシア映画芸術の状況について
オスカル・A・H・シュミッツへの返答
シュルレアリスム
チャップリン回顧
叙事的演劇とは何か(初稿)
写真小史
演劇とラジオ放送
厳密な芸術学(初稿)
経験と貧困
生産者としての執筆者
技術的複製可能性の時代の芸術作品(第二稿)
エドゥアルト・フックス 蒐集家と歴史家
叙事的演劇演劇とは何か(第二稿)
著者等紹介
ベンヤミン,ヴァルター[ベンヤミン,ヴァルター] [Benjamin,Walter]
1882‐1940。ドイツのユダヤ系哲学者、批評家。20世紀における最も重要な思想家として影響を与え続ける
山口裕之[ヤマグチヒロユキ]
1962年生まれ。ドイツ文学者。東京外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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袖崎いたる
4
ベンヤミン重要なこと言ってるんだけど、文の生理がいまいち合わないのよな。2022/03/05
ぷほは
3
新訳で読むと旧訳とは異なる論点やニュアンスの幅が広がる。特に「複製技術」論文の第2稿と「経験と貧困」でチャップリンと同時にミッキーマウスにも触れられているのを忘れていた。ロシア映画だけでなくアニメーションのトーキーにも関心を寄せていたという事実は興味深い。自然と経験が一致する場所が大衆の夢であり、そこにトーキー・アニメーションというアメリカ資本主義の権化が指示される。改稿で削除されたのは勿体ないと思う一方、やはりまだどう位置づけたものか迷っている様子もうかがえる。非経験とは考えていない点をどう考えるか。2023/06/02
その他
0
複製芸術論をはじめ、写真論、演劇論を続けて読めたのでベンヤミンが繰り返し言及している“オーラ”に関する意図が分かりやすいかった。 鑑賞者の集中力や、作品の持つ拘束力についても語られているところが面白く、複製芸術の人というイメージから、美術の持つ儀式的なエネルギーの人というイメージに変わった。2023/05/22
十文字
0
複製芸術論の第二稿を収録。最終稿である第三稿との違いを気付けなかったのだけど、解説を読むと、たしかにその通りだと思った。2023/05/02