出版社内容情報
ニューヨークで生きる人々の日常を絶妙な語り口で描く人生ドラマ。映画『幸福の黄色いハンカチ』原作を含む著者代表作。新装版。
内容説明
“孤独と喪失に彩られた、見えない街”ニューヨークで生き、愛し、悩み、悲しむ人々。恋人との再会、友人との別れ、酒場のひととき…ごく普通の男女が織りなす日常の一瞬を絶妙な語り口で浮き彫りにした、三十幾通りの人生ドラマ。感動が胸に染みわたる不朽の名短編集。映画『幸福の黄色いハンカチ』の原作「黄色いハンカチ」(Going Home)を併録。
著者等紹介
ハミル,ピート[ハミル,ピート] [Hamill,Pete]
1935年、ニューヨーク・ブルックリン生まれ。ジャーナリスト、コラムニスト、作家。58年、ニューヨーク・ポスト紙記者となり、さまざまな報道に携わる。90年代には同紙とニューヨーク・デイリーニューズ紙の編集長に
高見浩[タカミヒロシ]
東京生まれ。出版社勤務を経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nemuro
42
ピート・ハミルは(そんな日は永遠に来ないのだが)酸いも甘いも噛み分けた違いがわかる男になってから読む作家だった。そんな戯けた幻想ゆえか今まで縁がなかった。本人曰く「新聞(タブロイド紙)のために書いた短編小説で締切りに追われて急いで書いた単なるスケッチにすぎない」34編と、映画『幸福の黄色いハンカチ』の原作「黄色いハンカチ」(Going Home)を併録。「登場人物には友人、知人もいれば私の新聞のコラムの読者もいる」らしい。 2020年8月の訃報を受けての新装版初版。様々な制約があってもなおの秀作だと思う。2022/01/13
サンタマリア
37
書かれていた事だけが事実で、物語の明確な開始も終了もなくて。想像が膨らむ。アメリカのバックグラウンドを知らないから読み落としたところもあるのだろうけど、それは物語のまだ眠っている一部だと考えると愛おしい。2023/01/19
ぱなま(さなぎ)
19
ニューヨークに住む人々の苦楽をスケッチのような数ページずつの短編で描きだす。三十以上ある短編集だけれど粒だっていてその質にばらつきがなく、いずれもどことなく哀愁を込めた余韻を感じさせるのが良い。個人的な感想としては、自分と似た境遇の、既婚で子どもを育てている最中の女の孤独感を書いたものが特に印象深かったけれど、どれを取ってもスポットの当たった人物の人生の余白を想像させる奥深さがある。2021/07/20
くさてる
19
70年代のニューヨークを舞台に描かれる人間模様。短編小説、というよりは素描に近い、小さなドラマばかりだけど、一つ一つに人生の影と光がある。「幸せの黄色いハンカチ」の原作もありますが、これだけの短さで、あの物語の全てを集約している、というか、ここからあの物語を創り出したのもすごいな、と思いました。でも、この長さだけでも十分だと思います。2021/04/03
まこ
12
再会した恋人同士に、記憶が曖昧になった建物。年を取ってから思い返しての物語。最後まで読み終えると、変わらないバーに時折登場するマロイの存在が中心になっていたのでは。2022/08/02