出版社内容情報
韓国の歴史認識がいかにナショナリズムに傾いたかを1990年代以降の状況を追いつつ、冷静に論理的に分析する。解説=高橋源一郎。
内容説明
「日本」を通してナショナリズムが本格的に台頭し始めた一九九〇年代の韓国を冷静に鋭く分析した作品。反日や嫌韓の論議が騒がしい近年、ベストセラー『帝国の慰安婦』の著者が、二〇年前に韓国で刊行した原本に「今」を問いなおす日本語版序文を新たに入れて文庫化。日韓問題を、「他者との出会い方」という視点から考え直す画期的な一冊。
目次
第1章 うたうナショナリズム(「鉄杭」事件を考える;破壊と喪失の間―旧朝鮮総督府庁舎の取り壊し ほか)
第2章 侵略する日本と利己的な日本人(「日本文化は卑しい」;「日本の謝罪」をめぐって ほか)
第3章 表象としての日本人(日本人と創造性;日本は「刀の国」か ほか)
第4章 ナショナリズムとは何か(拡張主義のナショナリズム;文学とナショナリズム ほか)
著者等紹介
朴裕河[パクユハ]
ソウル生まれ。世宗大学国際学部教授。慶応大学文学部卒業後、早稲田大学大学院で日本近代文学を専攻。文学研究者としての仕事の傍ら日韓の間で起こっているさまざまな問題について考えている
安宇植[アンウシク]
1931‐2015年。東京生まれ。桜美林大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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瓜月(武部伸一)
8
20年前の初版タイトルが「反日ナショナリズムを超えて・韓国人の反日感情を読み解く」とあるように、韓国社会の非合理な日本理解と対日言説を問う本。しかし著者は巻頭の「20年後の長い序文」で述べる。「この本は韓国のナショナリズム批判だが、その根底にあるのは日本のナショナリズム批判」だ。著者が言うように「帝国主義へと容易に転化する、強者主義、覇権主義、侵略主義」への批判なのだ。ゆえに僕たち日本人は、今の嫌韓ネトウヨ文化人の言説こそ一部韓国人の歪みの合せ鏡であり、その根本原因は日本近現代史にあることを認識すべきだ。2023/12/11
原玉幸子
1
世論や国民感情が両極端に分かれる時、対立が激化するのは往々にして感情的な場合が多い気がします。日本への留学経験(文学専攻故に大江健三郎に詳しく、又ここでも柄谷行人!)があり、日韓両方を知る韓国人の著者による、韓国国民の「行き過ぎた」、歴史観、感情表現、文学観、教育思想、共同体意識等々に通底する「韓国ナショナリズム」への冷静な批判に就いて、その隠蔽や歪曲の事例に驚きつつ、双方冷静さを欠いた遣り取りになっていることに悲しい嘆息です。ハングルと韓国国民性の関係性研究は、以降の課題に。(◎2020年・秋)2020/09/18
いんきゃ犬
0
ナショナリズムは帝国主義への羨望2023/06/20