出版社内容情報
ラブレー、ドストエフスキー、セリーヌ、ガルシア=マルケス、フェリーニ……愛する小説、絵画、音楽、映画を論じた、決定版評論集。
内容説明
クンデラが愛する、小説、絵画、音楽、映画の数々。ラブレー、ドストエフスキー、セリーヌ、カフカ、ガルシア=マルケス、フェリーニ…。小説を書くことで確信した、モダン・アートへの揺るぎなく、粘り強い擁護のために編まれた、決定版の評論集。
目次
第1部 画家の乱暴な手つき―フランシス・ベーコンについて
第2部 実存の探査器としての小説
第3部 ブラックリストあるいはアナトール・フランスに捧げるディヴェルティメント
第4部 完全な相続への夢
第5部 多様な邂逅のように美しく
第6部 彼方
第7部 わたしの初恋
第8部 シェーンベルクの忘却
第9部 原‐小説『皮膚』
著者等紹介
クンデラ,ミラン[クンデラ,ミラン] [Kundera,Milan]
1929年チェコスロヴァキア生まれ。67年、小説『冗談』で注目されるが、68年のプラハの春以降、全著作が国内で発禁となる。75年にフランスに亡命。81年に同国の国籍を得る
西永良成[ニシナガヨシナリ]
1944年生まれ。東京外国語大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スプーン
58
評論はそれ自体で既に芸術である。 私は自身の書こうとしている「評論論」が芸術足り得ない事を自覚しているので、筆を汚さず、一言で、このレビューを締めたい。「読むべし」。 2023/05/04
松本直哉
35
生誕百年のクセナキスを祝ってクンデラのクセナキス論を読む。ソ連によるチェコ侵攻に弄ばれる自らの運命に、ギリシャでの戦争で顔の半分を失う作曲家のそれを重ねつつ、西欧音楽の相続を拒否するかのような彼の音楽に慰藉を感じる作家の筆致は温かい。その理由は、彼がクセナキスの音楽のなかに反(anti)=音楽というより原(archi)=音楽、近代西欧の音楽が聴き逃してきた原初の響き、人間のちっぽけな主観や感情から解き放たれた音を聴いたからなのかもしれない。「私の初恋」という表題のヤナーチェク論も心に残る。2022/06/22
A.T
27
1929年生まれのチェコスロバキア人のクンデラがさまざまな文学、映画、音楽、歴史を俎上に乗せて移ろいゆく現代を捉えようとした批評集。20世紀の2度の大戦をくぐり抜け平和が訪れたと思いきや、ドイツ・オーストリアからソ連に支配者が交代しただけで、共産主義に自由を奪われ、祖国チェコスロバキアから亡命、次はフランス人として生きる中、何を軸に考えるのか。ヨーロッパという激動の世界を想像させてくれる。→2020/06/07
美東
17
原題は”Une rencontre" あいにくフランス語は解さないが、「出会い」という意味だそう。それをわざわざ「邂逅」という難し気な邦題にしただけあって難解な文章であった。それでも音楽論についてはベートーヴェン、クセナキス、ヤナーチェク、シェーンベルクなど個人的に馴染み深いものだったのでそれなりに共感できたが、文学論となるとドストエフスキー、カフカ以外は手付かずなのでお手上げである。2023/11/05
ハルト
10
読了:◎ ついていけず、なかば置いてきぼりになりながら読みました。クンデラの、文学・芸術論。邂逅というタイトルのように、クンデラが出会い感銘を受けた作品について書かれている(はず)。とりあえずクンデラ作品をあらためて読んで、再度挑戦したいです。2020/04/29