内容説明
アンリエット―若きカザノヴァにとって、この類稀な魅力を持つフランス女との運命的な出会いは、生涯忘れられない美しい悲恋の物語となる。絢爛たるパリの社交界での享楽的な日々と、ウィーンでの冒険を勘能した後に、彼は自分の青春を最も満たしてくれた女性のひとり、C・C嬢に巡り合う。しかし、意を決して彼女の父親に結婚の許しを申い出たところ、突如彼女は修道院に入れられてしまう。諦めきれない2人は手紙のやりとりを始めることになる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mak2014
3
カサノヴァ23歳からの5・6年間のこと。カサノヴァはその女性遍歴が有名なため、女性から女性へと遊び歩いているイメージだが、第3巻では謎めいたフランス女性アンリエットと結婚をしようとまで考えたC・Cとの2つの本気の恋愛が綴られている。また、パリ、ウィーンという外国の文化の中心地での生活が記されている。特にパリに対しては文化的なコンプレックスも語られていてとても興味深い。本書の欠点として挿絵が挙げられる。数は多くないが無意味に淫らでポルノ的過ぎ。カサノヴァの知性を感じる文章にはふさわしくないと言ってもいい。2016/09/21