出版社内容情報
黄金の都市、マゼランが見た巨人、アメリカ人の強盗団……。幼い頃に魅せられた一片の毛皮の記憶をもとに綴られる見果てぬ夢の物語。
内容説明
人はなぜ移動をするのか。マゼランが見た裸の巨人、ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド、伝説の一角獣、オオナマケモノを見つけた19世紀の船乗り、世界各地からの移住者たち…。幼い頃に魅せられた一片の毛皮の記憶から綴られる、繊維かつ壮大なる旅の軌跡。不毛の大地に漂着した見果てぬ夢の物語。
著者等紹介
チャトウィン,ブルース[チャトウィン,ブルース] [Chatwin,Bruce]
1940年イングランド生まれ。ロンドンで美術品鑑定や記者として働く。パタゴニア行きを経て、77年本書を発表し、20世紀後半の新たな旅行記の古典として高い評価を得る
芹沢真理子[セリザワマリコ]
1953年大阪生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
57
【再読】もう憧れしかない。事実に虚構、膨らんだ想像。全てが詰まったチャトウィン沼にズブズブはまって恍惚となる。かつてはこんな旅ができたならと夢見たものだが、今朝はこんな旅は無理だと思った。加齢、分別、寂しくなる。2020/11/22
syota
30
沢木耕太郎さんが香港からポルトガルまであの『深夜特急』の旅をしていたころ、チャトウィンもバックパック一つでパタゴニアを縦横に旅していた。公共交通機関が貧弱なため、主たる移動手段はヒッチハイクと徒歩!本書はその旅の記録だが、単なる旅行記にとどまらず土地の人の家に泊まり込んだり、歴史上のエピソードやゆかりの人物(ギャングやアナーキストまで)を詳しく紹介するなど多彩な内容だ。パタゴニアへの愛着がにじみ出ている。文明世界の最果てと呼ぶにふさわしい荒涼たる大地と、そこに生きた人々の姿を生き生きと描いた名著と思う。2022/05/28
翠埜もぐら
20
祖母の家のガラス張りの飾り棚にあったブロントサウルスの皮、と言う荒唐無稽なものから始まる南米最南端のパタゴニアをめぐる紀行文。旧所名跡ではなく、その土地で暮らしている人々の間を地面をべったり歩きながら、過去にそこに実在した人や事件の痕跡を探って歩きます。王になろうとした男、アナーキスト、「明日に向かって撃て」の後日談。ドン・キホーテか詐欺師かと言った人々の小説のような話と、政情不安定な国で淡々と暮らす、移民や牧夫や年寄りたちの現実の話が錯綜して大変濃密な文章でした。面白かった。ほかの著作も探そっと。2022/06/03
めぐ
18
「これ誰だっけ」を何回も繰り返しながら読みましたが、こういう書き方でしか書けない旅行小説だなあと思います。自分も旅をしている気持ちにさせてくれます。解説は豪華に池澤夏樹さん。「キュビズムの手法で書いた」というチャトウィンの言葉にとても納得しました。細かく分かれた情景のパッチワークで、聞き書きやら日記転写やらいろいろ出てきますが、非常にビビッドな映像を持った文章で、出てくる人それぞれの人生まで知りたくなります。パタゴニアに行きたいです。2017/11/21
マリリン
16
登場人物や地名が多く読むのが大変だったが、まさに「見果てぬ夢」のメロディを思い出すような、壮大な旅行記のような感覚を持って読んだ。最後に「ラ・メール」をあちこちキーを間違いながら弾いたという場面がよい。他にも「Don't Cry for Me Argentina」を思い出した。久しぶりに弾いてみたくなった。2018/01/31