出版社内容情報
「背筋が凍るほどすさまじい傑作」と言われたノンフィクションを文庫化! 「彼らを殺せ」と神が命じた――はたして信仰とは何か?
【著者紹介】
1954年生まれ。登山家、ジャーナリスト。多方面にわたって執筆活動を続ける。著書に 「荒野へ」(集英社)「空へ―エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」(文春文庫)など多数。
内容説明
「彼らを殺せ」と神が命じた―信仰とはなにか?真理とはなにか?一九八四年七月、米ユタ州のアメリカン・フォークで二十四歳の女性とその幼い娘が惨殺された。犯人は女性の義兄、ロナルド・ラファティとダン・ラファティであった。事件の背景にひそむのは宗教の闇。圧巻の傑作ノンフィクション、ついに文庫化!
目次
第1部(聖徒たちの都市;ショート・クリーク;バウンティフル;エリザベスとルビー;第二の大覚醒;クモラの丘;静かなる細き声;調停者)
第2部(ホーンズ・ミル;ノーヴー;教義;カーシッジ;ラファティの男たち;ブレンダ;力のある強い者;殺害
著者等紹介
クラカワー,ジョン[クラカワー,ジョン] [Krakauer,Jon]
1954年生まれ。ジャーナリスト、登山家、作家。寡作ながら徹底的な取材に基づいた迫真のノンフィクション作品を発表しつづける
佐宗鈴夫[サソウスズオ]
静岡県生まれ。翻訳家。早稲田大学文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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絹恵
40
信仰が人に人を殺させるのではなく、これは信仰が人の心を壊死させて殺してしまうのだと思います。奇跡が簡単に起こるのなら、それは奇跡の解釈の自由ゆえです。ある人にとっては自由度が低いと感じる場合でも、ある人にとっては楽園だと感じる場合もあるから、固定概念と倫理の狭間で作られた奇跡の解釈なのだと思います。2015/03/14
ウィズ
13
どんな宗教だろうと原理主義はいかんということです。2014/09/24
魚53
6
上巻終わり。訳文が読みにくいのと、慣れない外国の人名がたくさん出てきて誰が誰だか混乱してしまうのとで、なかなか進まない。しかし、モルモン原理主義のことを知れるのは面白い。何かを信じるって怖い。自分の都合の良いようになんでも解釈できてしまう。神のお告げ、神の望みと言えば、なんでも許されてしまう。特にモルモン教は個人へ直接神のお告げがあり、それを良いこととされているので余計にそうだ。これから下巻へ突入。2018/08/16
コーキ
3
モルモン教に限らず、排他的なコミュニティは恐ろしいものになりうると思った。2016/12/22
おとや
3
一見ほかのクラカワーのルポとは題材が異なるように見えるが、彼が一貫して「エクストリームな」、つまり何か極端な信念を持った人々を題材にしていたことを考えると、「狂信者」というのは当然彼によって書かれるべき題材であった気がする。モルモン原理主義者による殺人事件を、モルモン教の歴史から説き起こし、明らかにしていこうとする。モルモン教はその初期の教義から、分裂していくことが宿命付けられていた、という理解は非常に興味深い。2015/07/18