内容説明
テムズ河口の寒村で暮す少年ピップは、ある日大きな屋敷に連れて行かれる。女主人の婚礼で時が止まったままのその家では、昔日の花嫁と美少女エステラが奇妙な隠遁生活を送っていた。やがて莫大な財産を約束されたピップはロンドンに旅立つ…。巨匠ディケンズの自伝的要素もふまえた最高傑作、抜群に読みやすい新訳版。
著者等紹介
ディケンズ,チャールズ[ディケンズ,チャールズ][Dickens,Charles]
1812年ポーツマス生まれ。19世紀ヨーロッパを代表する小説家。後年の作家たちに多大な影響を与えている。1870年没
佐々木徹[ササキトオル]
1956年生まれ。京都大学大学院教授。専門はイギリス小説(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はたっぴ
98
『二都物語』に感動したので、ディケンズのこちらの作品に挑戦したが、冒頭から主人公ピップの気の毒な生い立ちが気になって仕方ない。幼少から実姉に容赦ない扱いを受けていたピップ。彼の味方は義兄ジョーと心優しいビディーだけだった。鍛冶場でジョーの片腕となり、姉夫婦と共に暮らすはずだったピップが、謎の人物から遺産を相続することになり、そこから話は思わぬ方向に進んでいく。あれほど懐いていたジョーには目もくれず、いそいそと田舎をあとにするピップ。この展開は何を意味しているのだろう。謎の人物が大いに気になりつつ下巻へ。2017/04/26
Ryuko
27
不幸な生い立ちのピップ。父と母の墓で、囚人と出合い、脅されたために食べ物と鑢を渡す。姉の夫で友達でもあるジョーにもそのことを言えない。食べ物が減っていることが姉にばれたらどうしようとドキドキしているピップがとても気の毒で痛々しい。哀しい境遇ながらもジョー、ビディーというよき友に囲まれていたのに、思いがけず、莫大な財産が手に入ることになり、ピップは変わっていく。ジョー、ビディーと離れちゃだめだよ、とヤキモキしながら上巻終了。下巻へ。2018/08/09
ごへいもち
24
「文庫オリジナルの訳し下ろし」だそうな(はじめて聞く言葉!)。 さすがに面白い。 最初はとっつき悪かったけど途中からは先が気になって…。 下巻を読むのが楽しみ2012/01/29
北風
19
大いなる遺産とは、もちろん大金なんだろうけれど、読んでいるとやっぱりお金ではなくて、お金よりも大切なものがある、という展開になるのかなあ? という印象。ピップは清廉潔白な感じではなくて、やっぱり人間的。欲もあるし、好き嫌いもある。転がり込んできた財産の秘密は、なんとなく想像がついているのだけれど、周囲の登場人物たちも魅力的。ジョーは大事にしないとだよね。感情のないエステラと良識あるビディー。個人的にはやりてのジャガーズが気に入っているけど、後編良い場面があるか疑問。2020/06/17
zakuro
13
自伝的小説だそうだが。自分を虐げていた者が病に倒れたり死んだりしたことによって人生が開けたというところに激しく共感した。徒弟制度とかもう少し註付けて説明して欲しい。ジョーの長ゼリフが心に沁みるんだなあ。色々謎な部分があるけど下巻でどう片付くのか。この作家の場合、片付かない伏線もあるのであまり期待してないけど。この時期「クリスマス・キャロル」じゃなくあえてこっちを読了したってところがひねくれています。2016/12/24