河出文庫<br> メグレと口の固い証人たち (新装新版)

河出文庫
メグレと口の固い証人たち (新装新版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 227p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309461977
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

古いのれんを細々と守るビスケット屋ラショーム家の当主が、深夜、自室で胸を撃たれて死んだ。庭に梯子、窓に梯子を立てかけた跡、割れた窓ガラス。状況は外部からの侵入者の犯行を物語っていたが、家族は誰も朝まで気づかなかったと主張し、それ以上訊きだそうとすると、奇妙に口をつぐんでしまう。メグレはそこにただならぬものを感じた…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kthyk

16
100年余り続いたバリの家族と事業の末路。その悲劇を定年を控えたメグレとまだ未熟だが才覚ある判事が、擦れ違いながらも解明していく。悲劇を演じるのは特定の人物ではない。パリの幾つかの静かな運河の水の流れと呼応して、読者を含め、どこか全ての人々の物語と感じさせる所がある。未読なメグレ・シリーズ、まだまだ沢山ある、ゆっくり電子板で楽しみたい。2023/05/23

bapaksejahtera

13
メグレが子供時代親しんだ菓子の会社は、創業者から3代を経ても大きな屋敷を構え存在した。或夜その当主が銃で撃たれて死んだとの通報があり、メグレは早速駆けつける。屋敷は大きいが、調度は皆古びて昔日の栄華は見る影もない。家人は事件を強盗の仕業と繕おうとするが、メグレは疑いを持つ。落ちぶれた名家が没落の回避を図った思いもよらぬ方法とは。本作では学校出たての現場知らずの予審判事が登場。退職を目前にしたメグレが、警察と捜査を巡る環境が悉く変わった事をつくづく思い知る。メグレの晩秋を描く作品はもう少し後で読みたかった。2023/07/24

Ribes triste

8
メグレ警視シリーズ。老舗ビスケット会社の社長が、自宅で射殺される。強盗事件かと思われたが、親族たちは全く事件の証言をせず、口を閉ざす。さらに事件担当に新人予審判事は捜査に介入しようとする。いつにないストレス下でのメグレは、終始不機嫌。刑事たちの活躍とメグレの名推理。やっぱり面白い。2018/09/02

hirayama46

3
はじめてのジョルジュ・シムノン。メグレ警部シリーズの途中から読み始めましたが、いきなり定年間近だった……。正直言ってあまりピンとこないままするすると読み終えてしまったのですが、解説によると読んでいくたびに深みが増していくとのことですが、そもそも次の作品を読むことができるだろうか……。2022/11/11

Jun Shino

2
定年前のメグレ。ラショーム家の陰気な屋敷の自室で長兄レオナールが小口径のピストルで撃たれ死んでいた。近くの寝室にいた弟もその妻も老女中もなにも聞いてないと言う。若い判事が現場を仕切ろうとし、弁護士は訊問にいちいち口を挟み、メグレはいつもの調子が出ない。 シムノンの描写力と構成力は素晴らしい。人物描写、メグレが食事に立ち寄る店や車などの小道具、メグレの捜査報告は全て自分が聞いてしかるべき、と思っている判事にならばと質問の箇条書きを渡し、クライマックスの訊問をさせる仕掛けも秀逸。今回も楽しんだ。 2020/08/08

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