内容説明
『百頭女』につづくコラージュ・ロマンの傑作。エルンストによる詩的自伝、コラージュ論を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
59
再読本で古本屋さんで購入。今は誰でもすることのある、コラージュという手法を使って1つの閉じた芸術世界を作ったコラージュ・ロマン3部作の1つでその先駆性が素晴らしい!大判でないのが少し残念。2016/08/03
スプーン
30
冷静に提示・提供される狂気。意味不明な悪夢。「今日からデイヴィッド・リンチを父と呼ぼう!」2020/11/23
redbaron
19
3部作?のなかでは、入りやすい本書。とはいえ、入りやすいと言ってもねwww 文章もコラージュっぽくて、わかりやすいんだか、余計に混乱するんだか。修道会、少女の夢…といった時点でタブーな雰囲気がそこはかとなく漂う。正直わからん。が、なんでもわかってしまうと楽しみは無くなるから、無理にわからなくても良いか…と、言って自分を慰めてみるw2017/01/08
Roy
19
★★★★+ この少女の夢はなんておぞましい狂気、もしくは凶器なのだろうか。何とも刺々しくて、危うくて、繊細。「百頭女」では滑稽すぎて馬鹿ウケしていたのだが、本作では勿論ウケもするがそれよりも執拗に迫り来る黒さに哀しくなってしまった。それは序文らしきものを先に読んでしまった先入観だと思うが、序文だもの先に書いてあったんだもの仕様がないでしょ、と開き直りたい。2009/04/21
coco.
9
シュルレアリスム作家、マックス・エルンストが手掛けたコラージュ絵と言葉を添えた寓意作品集。修道女マルスリーヌ・マリーが視る啓示夢は、《修道会》という慎ましやかな文字とは裏腹に醜悪、卑猥さが際立つ。走馬灯の隠喩にされるゾエトロープの内側で、鳥を追い求める少女の姿は、死から自由へ逃れたい渇望とも、受け止められる。混沌とした大戦時代の産物だからこそ、関係性は無きにしも非ずだ。エルンストに限らず、この分野にそれほど興味を抱けないでいたが、銅版画や挿絵を用いたものならば、幾らか嫌悪感は緩和された。2013/12/31