河出文庫<br> ユング―地下の大王

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河出文庫
ユング―地下の大王

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  • サイズ 文庫判/ページ数 252p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309461274
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C0198

内容説明

『アウトサイダー』以来一貫して、現代人の精神的貧困の原因とそれを克服する道は何かを問い続けてきた著者が、ユングにその答を求め、オカルト、共時性、易、錬金術、能動的想像等、ユングの神秘的側面に光をあて、その思想体系の発展を伝記と関連させて明快に説いた力作。意識と無意識の分裂こそ精神的貧困の原因であり、その克服の道がユングにあることを示唆する。

目次

1 二重人格
2 科学者への道
3 友情の破綻
4 地下の大王
5 目に見えない著作
6 キュスナハトの賢人
7 疑問と留保
付録 能動的想像

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

猫丸

11
内側へ切り込んでいく自己省察と外側へ発散する社会的自己実現の強い欲求。二方向へ引き裂かれた意識が、あるのか無いのか不分明な無意識へのチャンネルを探し求めている。近代的かつ悲劇的。自身が病むことが多い心理学徒の中でも、ユングはとりわけエキセントリックな個性をもった男と見える。地下に君臨する西洋古典教養の権化を夢想し、それに自己を重ねる耽溺癖を語りたくてもあからさまには語れない。近代科学の規範に忠実であると見せかける努力はいかにも虚しい悪戦である。ユングに比べればフロイトが呑気に感ぜらるほどだ。2021/05/14

うえ

4
「エドゥアルト・フォン・ハルトマンの注目すべき-そして現在では忘れられてしまった-『無意識の哲学』を読んだ…彼は自然は非常に大きい無意識的な意志によって駆り立てられていると主張した…ハルトマンのいう「無意識」は当時フロイトが発見しつつあった無意識的な心とは違っていた。しかし彼が挙げた動物や鳥の本能的行動の何百の実例は、無意識であるがしかし目的にかなった本能の国についての知識をユングに与えたに違いない」「トインビーはこれに似たスパルタにおける幻影から彼自身の『歴史の研究』がどうやって生まれたかを述べた」2014/12/09

アルクシ・ガイ

3
ユングを俯瞰して、時に切る本。集合的無意識を持ち出さなくても、太陽から管くらい誰でも思い付く。まあ、そうかもしれない。で、あらためて思う。ユングというのは、彼の思想にまず心酔して、さらにそこに自分なりのプラスアルファを付け足してこそ、話が面白くなる。理詰めで分析する「学問」じゃない。2018/08/16

hgstrm2

2
非常に面白く、自分の中でユング理解がかなり深まったと思う。ユングの思想は神話や占星術、錬金術よりも、むしろゴシックやロマンティシズム、シュールレアリスムと親和性が高いのでは?というより、神話・占星術・錬金術の延長線上に、シュルレアリスムは存在しているということか。なぜかウィルソンはシュールレアリスムについては全く言及していないけれども。ランボーの言う on me pense の on とは自分以外の誰か(超越的な存在)、ではなくてむしろ自分の無意識の中にいる誰か、なのではという気もしてきた。2020/01/18

towerofthesun

1
我々が認識しているこの世界すべてが、個々人で濃淡の差こそあれ、実は「能動的想像」そのものなのかもしれない…と思ったら、ちょっと怖くもあり、ポジティブにもなり。2014/08/02

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