内容説明
結婚4年めの弁護士ウォルターと妻クララの間にはすでにすきま風が吹きはじめていた。ある夜、クララはパーティーの席で夫と会話をかわしていた女性との仲をかんぐり、夫婦喧嘩の末、自殺未遂の騒動をおこしてしまう。神経質な妻の性格に嫌気がさして、ウォルターはある新聞記事を思い出す。妻殺しの完全犯罪をおこなったとおぼしい男の記事を…。『太陽がいっぱい』、『見しらぬ乗客』の原作者、サスペンスの巨匠パトリシア・ハイスミスの初期傑作長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
eirianda
20
先に読んだ『殺人者の烙印』と被る話だが、本作の方が主人公に感情移入できサスペンス感がある。読後、なんとも言えない嫌〜な気持ちに…。こんな嫌な心情に追い込むまでの心理描写ができるハイスミスは凄い! ハイスミスは淡々と計算しながら、こんな被害妄想と野心の拗れた男達の話を書けるのだ!すーごーい!2018/04/14
のじ
5
すごく久しぶりの再読。こんな話だったっけ?妻を殺したい2人の男の話。前回読んだ時から時が過ぎて、主人公の性格を言い表す「めんどくさい奴」っていう言葉がいつの間にか定着しているのに気付いた。そして、めんどくさい奴を書かせるとハイスミスは巧くて、めんどくさい人がたくさん出てきて、そしてまためんどくさい主人公の行動におおよそ共感できないのにひきこまれてしまう。やっぱり今だったら「イヤミス」みたいな扱いになるのかもなあ。2017/08/13
AMBER
4
「題名どおりなんだろうなぁ~」って考えてたけど、なんか違う意味で違った。最後まで妻の謎はモヤモヤでしたね。主人公の苦悩と転落さがバシバシ伝わってきて終わりかたが酷い。あと本屋のおじさんこそ刑事がバシバシ叩いて刑務所にぶちこまなきゃいけないのに、なにやらそこんとこも未消化でしたね。でも、全体的におもしろかったです。2015/09/19
gerogeC
3
みずから災厄を招くような逸脱した行動を繰り返した挙句は、すんでのところで妻を殺さなかった男、実際に妻を殺した男、事実に関心はなく両者を追い詰めることだけに心血を注ぐ男の歪みきった三つ巴の狂騒へ落ち込む。お互いの立場は消え去って同じ地獄にいるという環境だけが残されている。『質屋』のロッド・スタイガーを彷彿させる古書店主キンメル。2020/04/18
shiaruvy
3
【1992.05.22 三刷】 コメントあとから2015/05/04