出版社内容情報
NHK朝の連続小説の主人公が予定される〈日本植物学の父〉の、珍しい自伝的、植物愛に溢れるエッセイをまとめる。
内容説明
“日本植物学の父”と称された牧野富太郎の、ベストエッセイ集。自由闊達、在野精神の横溢した名文で、新種発見の喜びを綴り、分類・名称の誤りを正す。自伝をまとめた「想い出すままに」のほか、『随筆草木志』『趣味の草木志』『趣味の植物誌』『続牧野植物随筆』などから、その植物愛に満ちた文章を選りすぐるオリジナル文庫。
目次
1 想い出すままに(幼少のころ;地獄虫;狐の屁玉 ほか)
2 わが植物園の植物
3 植物さまざま(あずさ弓;熱海の緋寒桜;俚謡の嘘 ほか)
4 牧野一家言(牧野一家言;味噌、糞の見さかいもなき園芸家;農家の懐ぐあいで甘藷が変わった ほか)
著者等紹介
牧野富太郎[マキノトミタロウ]
1862年、土佐(現高知県)生まれ。植物分類学者。独学で植物学を志し、帝国大学理科大学(現東大理学部)植物学教室で研究、同大助手、講師を務めながら全国に植物調査を続け、多数の新種を発見。植物分類学の基礎をつくり、『植物学雑誌』なども創刊、“日本植物学の父”と称された。理学博士、文化功労者、文化勲章受章。1957年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クロモジ
3
専門用語が多く図がないので読みにくいものの、言いたいことが真っ直ぐに書かれており面白かった。人間性もあらわれており興味深かった。2022/11/26
pushuca
2
北杜夫は牧野富太郎の文章を、味わい深い悪文と称していた。だが、最初の自伝「想い出すままに」を読んでいても、とても悪文とは思えなかった。95歳を迎えようとしている人物が書いたとはとても思えない矍鑠たる文章だ。そして、過去のひとつひとつの思い出に対する記憶の確かさにも舌を巻いた。 味わい深い悪文の本領が発揮されるのは、むしろ若い時に書いた「わが植物園の植物」以降に発揮される。なるほど悪文だ。そして確かに味わい深い。 植物の名前が正確に使われていない事に、深く憂慮している。そのひとつひとつに深く頷くしかない。2022/09/17
コウみん
1
牧野富太郎さんの植物研究に書かれた本。 いろんな草と野菜など普通知らなかった知識などを絵で描かれているので植物学を勉強する人とかまったく知識がない人が読んでも悪くない。 ジャガイモと馬鈴薯のこととか面白かった。2024/01/25
plum
1
草木によりて思い遣りの心を養いたいp158。大言海にモノ申し,隠元の誤解を正す。高知県の植物園を尋ねた折は,このような学者であることを知らなかった。植物を説明する言葉は日本語なのに,一向に意味をなさない。わが浅薄さに厭きれる。日本の桜は山桜,桜桃や西洋実ざくら;チェリーではない。ヨモギ;中国北辺地に野生し,冬になって枯れると根が抜けて風に吹かれて砂砂漠を転がり行くものの名(和名クルマグサとか?)。ススキ;草の名ではなく迫るという意味の形容詞である等々。2023/01/02