出版社内容情報
激動の戦国時代、どのような日本語が話され、書かれ、読まれていたのか。古代語から近代語への過渡期を具体的・多面的に描く。
内容説明
戦乱の世であると同時に、さまざまな芸道が花開いた「日本らしさの始発」とも言える時代、いかなる日本語が読まれ、書かれ、話されていたのか。武士の連歌、公家の日記、当時の言葉と文化を映し出す辞書『節用集』、発音などの実態を知ることができるキリシタン文献、天下人・秀吉の書状…古代語から近代語への過渡期、変わりゆく日本語のすがたを多面的に描く。
目次
序章 五百年前の日本語はどんな日本語か
第1章 漢文で書かれていた公家の日記
第2章 中世の辞書『節用集』から見えてくる室町時代(見出し項目となっている動物;見出し項目となっている人物;こんな語も見出し項目に)
第3章 宣教師の時代の日本語(ローマ字本だからわかること;『日葡辞書』からわかること;平仮名・漢字交じりの国字本からわかること;秀吉・家康にも愛された日本語の名手―通事ロドリゲス)
第4章 豊臣秀吉のリテラシー
終章 室町時代を「環状彷徨」する
著者等紹介
今野真二[コンノシンジ]
1958年、神奈川県生まれ。清泉女子大学教授。日本語学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むむむ
3
真剣に読むのはしんどいが、つまみ食いをしたくなる面白さ。 なぜ、歴史的仮名遣いのはひふへほをわいうえをに直すのかなど、ほうと思わされた。 平安時代の文法が主に古典で扱われるため、その過渡期を見るのはおもしろい。2022/01/05
しょうゆ
1
解説にもあったが、本の構成が見事。わかりやすい例え話から始まり、公家の日記から当時の辞書、キリシタン文献、武将の連歌など様々な角度から戦国時代の日本語について分析されている。かなり面白かったです。話し言葉と書き言葉のずれやリテラシーの問題など興味深い。宣教師たちから見た外国語としての日本語の視点が特に良かったです。キリシタン文献をもっと読みたい。2022/10/15
Meursault
1
これは思わぬヒットだった。キリシタン本から当時の日本語が見えてくるのは目から鱗だった。天正遣欧少年使節団が持ち帰ったことにより、当時既に日本語の活版印刷ができてたのにも驚くし、アルファベットで書かれてるから当時の発音も分かるというのが面白い。ハ行がfの発音で「母」が/ファワ/、「秀吉」が/フィデヨシ/だったという。戦国時代好き、言語学好きどちらにもお勧めできる。2022/03/27