出版社内容情報
ヴェトナム、パリ、中国、日本などの美味しいものを巡る記憶。舌とペンで精緻にデッサンして本質をあぶり出す食と酒エッセイ傑作選。
内容説明
無人島で釣った魚にニョクマムをかけて味わい、唐辛子を添えた南国のパイナップルに唸る。世界を歩き貪欲に食べて飲み、その舌とペンで精緻にデッサンをして本質をあぶり出す。酒食随筆の名手・開高健の文章は、今なお新しく深く、おいしく、かなしい。二十代後半から四十代に手掛けた食と酒エッセイ傑作選。
目次
1 魚の水はおいしい(試めす;ヴェトナムの美味と美女 ほか)
2 ペンと肝臓(ヰタ・アルコホラリス;コンニチハ オサケ! ほか)
3 しらうお(鮭;姫鱒 ほか)
4 眼ある花々(君よ知るや、南の国;一鉢の庭、一滴の血 ほか)
5 詩と洋酒(詩と洋酒;シャンパンについて ほか)
著者等紹介
開高健[カイコウタケシ]
1930年大阪府生まれ。大阪市立大を卒業後、壽屋(現・サントリー)宣伝部で活躍しながら執筆活動を開始する。58年「裸の王様」で芥川賞受賞。代表作に長編小説『輝ける闇』(毎日出版文化賞)など。ベトナムの戦場や中国、東欧など世界各国を訪ねてルポ、行動する作家として知られた。89年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
92
1950年〜70年代にかけて雑誌に紹介されたエッセイ集。タイトル名はベトナムの魚醤のことだ。氏はベトナム戦争真っ只中従軍記者として戦火の中で取材をしてきた。その頃のものだと思う。しかしなんといっても面白いのは酒と食についてのウィットの効いたところにある。いやウィットというより食と酒を文学的にかつ俗っぽく書けた方だと思う。今テレビでは毎日のように食番組をやっているがこれを観たらなに想うだろう・・・存命なら91歳。どんな言葉で皮肉ったかぼやいたか。図書館本2021/12/16
DEE
8
食と酒のエッセイだけを集めた、まさに傑作選。既読のものも少なくないけど、読み返すたびに新たな発見があるので飽きることはない。2021/05/08
じーーーな
4
切り口に唐辛子を擦りつけたパイナップルの香りが象徴するヴェトナムの描写、本当に美味しそうでどこか出掛けたくなる。 アルコールを手放しで歓迎する姿勢は多分誰にでも受け入れられるものとして書かれているのだろうけれど、お酒飲めない身としては「今いったい何を読まされているんだ……?」という感じになる。 しかしこう、たまに台詞の形を取ってる文を見ると、ああこういうのが年配の方のああいう文面に繋がるのかしらと……。こういう台詞回しが洒落ていると思われていた時代があったのかな。2021/01/15
niz001
4
自分の嫌いなもの・理解できないものをまろやかに貶すのとドヤ顔が想起される気取った感じが合わず途中から流し読み。2020/10/08
平坂裕子
2
お酒と食を深く味わい、そして自然を何より崇拝している、力強い文章に圧倒されながらも、本当に美味しいものは、すごくシンプルなものだとあらためて考えらせられた。2021/04/25