出版社内容情報
「おばんざい」という言葉を世に知らしめた食エッセイの名著が初文庫化。京都の食を語る上で必読の書の秋冬編。解説=いしいしんじ
内容説明
京の町屋の食卓で日々食べられている、ふつうのおかず―おばんざい。この言葉を一躍全国に知らしめた名著。幾通りもおつけもんを並べていただくお茶づけ、焼き豆腐と揚げ豆腐を一緒に炊いためおと炊き、冬の楽しみ、かぶらむし。質素なようで、その実、ぜいたく。刊行から半世紀を経てなお、京の食文化と暮しを語る上で欠かすことのできない随筆集の秋冬編。
目次
にしんこぶ
きごしょう
かます
枝豆
いもぼう
お月見だんご
ひろうす
なっと
さいら
くりごはん〔ほか〕
著者等紹介
秋山十三子[アキヤマトミコ]
1924年、京都・祇園の造り酒屋に生まれる
大村しげ[オオムラシゲ]
1918年、京都・祇園の商家に生まれる。随筆家、料理研究家として雑誌やテレビ等で活躍、食のみならず広く京の文化を紹介した
平山千鶴[ヒラヤマチズ]
1919年、彦根で医者の家に生まれ、京都・中京で育つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いーたん
17
今年亡くなった姑は、京都に住んで口道楽で、美味しいものを食べたり、作るのが好きだった。同じ関西でも京都と大阪の食文化はずいぶん違う。初午の日に食べる畑菜の辛子和え、ひねこうこ、いもぼうなど、結婚してから知ったおばんざいが、この本のエッセイにたくさん出てきた。はんなりとした口調の文章は、テキパキとした姑のそれとは違うが、何かしら懐かしい思いがした。せやけど、あらためて、京都の冬は寒いわなぁと思た。2020/10/24
そうたそ
11
★★★★☆ おばんざいという言葉を全国に知らしめたという名著らしい。どこか京の話し言葉を交えたかのように語られる古き良き京都の食文化。その季節に合ったものを食べる。それは、もはや決め事であるかのように当然の如く行われてきた風習とも言える。旬の食べ物という概念がなくなりつつある今では嘘のような話にも思える。でも、食べることで季節を感じられるってやはり素晴らしい。年中どんな食材も手に入るし、何でも食べられるというのもいいが、季節の訪れとともにその季節の食べ物を味わう暮らしもまた捨て難いだろう。2023/08/18
Ribes triste
10
行事ごと、季節の移ろいが、日々の食事に現れる。こういうエッセイは読んでいて楽しいです。夏向きのお茶漬けの話は、涼やかでおいしそう。そして、あつあつのご飯の上のとろけるにこごり。たまりません。2020/06/14
ケイト
2
京都旅行中に読みました。 コトコトと煮える鍋の音が、愛おしい。 ひとつひとつお話は短くても、じんわりと胸に染みます。とても良かったです。2022/12/25
でろり~ん
1
いいですねえ。決められた日に決められたものを食べるって、今はもう消えてしまった日本の習慣。京都ばかりでなく、日本のどこにもあったであろう食文化が、消えていったのはイイことなのかワルイことなのか。おばんざいの言葉の意味や味わいにDNA的な懐かしさを感じさせてもらいました。ひねこうこ、むふふなネーミングです。京都ねエ、今はちと行けませんですねえ。2021/04/11