出版社内容情報
著者初の実話怪談の文庫化。実際の遭遇場所も記載。仕事仲間との体験、分身もの、事故物件ものなど、恐怖の全28話。
内容説明
もういいの?―振り向いても誰もいず、それは私自身の声だった。松寿園スタジオ、青山霊園、女子美大付属高、開かずの邸、散在ガ池、廃病院スタジオ、源氏山公園、国道16号線、ホテル青い鳥…。また誰かを死なせてしまうことのないように綴られた、二十八の怪談実話。
目次
怖い私
事故物件スタジオ(東京・東村山市(松寿園スタジオ))
青山霊園で祟られた少女(東京・港区(青山霊園))
殺人ラブホテル(東京・豊島区北大塚)
母校の怪談(東京・杉並区(女子美術大学付属高等学校))
蔵と白覆面(東京・品川区上大崎(目黒川))
連れて逝く人(神奈川・鎌倉市大船)
開かずの邸(東京・港区西麻布)
その肌、ちょうだい。(東京・新宿区~杉並区~台東区鴬谷)
リフォームの跡(東京・練馬区)〔ほか〕
著者等紹介
川奈まり子[カワナマリコ]
1967年、東京生まれ。作家。日本推理作家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
272
怪異を引き寄せる女性作家・川奈まり子さんの怪談噺にはリアリティーがあって全てが信じられそうですし、大仰な表現ではなく淡々と綴られたクールさも魅力のひとつですね。著者自身が怪異に怯まず負けてたまるかという強い意志を持たれているのがうかがい知れて読んでいて心強い気持ちになりますね。『リフォームの跡』美人ネイリストの金井さんは数年前から交際している拓実さんという恋人がいて結婚を視野に同棲する事となり、互いの勤務先に近い物件を当たった所、破格値の家賃八万円の物件が見つかり二人は逃してはならぬと焦り即決で契約した。2022/04/02
眠る山猫屋
74
幼いころから古典に交わる素養があっただけあり、怖がらせてくれる。年代的にも重なるから知った名前も多いけれど、最近の女優さん(佐倉まなさんとか)たちの環境とは違い、当時はやっぱり怖い業界だったのだろう(どんな職種だって暗部はある)。事故物件がスタジオとして利用されるというのは分かるし、そんな場所で怪異が継続する環境は必然的かも。周りで自死や失踪が続いたのは川奈さんのせいではないと思うが、冷静な筆致からして怪異を呼ぶ方なのかな。事件が追跡可能な話が多いのも実話怪談としては異例に怖い。凄惨な事件は未だ存在する。2021/01/15
HANA
71
実話怪談集。起こった場所が記されており、土地に記憶が蓄積されていくというのがよくわかる話ばかり。著者自身の体験した話もよく収録されており、実話怪談としては珍しい造りとなっている。この著者の場合、著者の意見がよく入るせいか随筆めいた文体のせいか、江戸時代の巷説を集めた随筆を読んでいるような心地の本が多数ある。本書もその例に漏れずそういう読み心地がする。こういうスタンス非常に好き。個人的には霊とかが前面に出てくるよりも「瓶詰めの胎児」や「空き家じゃなかった」等の、人間の不可解さが出た作品が面白く感じられた。2019/08/02
ヒデキ
50
著者ご自身の周りで起きた幾つかの怪異 そこから、実話怪談の世界に進まれた 著者の川奈さんですが、ご自身の周りの怪異を キチンと掴まれていて それを描写できるように 整理されているのは 私のような霊感の無い人間にとっては びっくりするお話です。 AV業界の「多くの死」、勝手の業界の闇の部分なのか 「性」というモノを描く世界から起きたモノなのか 謎を感じる部分です2022/06/23
かおりんご
42
ホラー。川奈さんがAV女優時代の話が多め。場所が紹介されているので、行きたくなる。タクシーの話が、興味深かった。ドッペルゲンガーなのかな?2023/06/17