出版社内容情報
伝説の女性俳人、存命なら百歳に。二冊の句集『春雷』『指環』と未刊行句集成、生涯追う川村の「鈴木しづ子追跡」を併せた一冊。
内容説明
まだ戦後の日の浅い頃、ダンサーとなり、黒人兵のオンリーとなって「娼婦俳人」と謳われた?俳人がいた。その後消息を絶つが、残された二冊の句集『春雷』『指環』を生誕百年、初めて文庫に。そのしづ子の生涯を執念ともいえる情熱で追いかけた、川村蘭太の鮮烈なルポ「鈴木しづ子追跡」も収録。巻末資料に貴重な「鈴木しづ子句集未収録俳句集成」をも。
目次
句集 春雷(鈴木しづ子)(序(松村巨湫)
春雷
跋にかえて(鈴木しづ子))
句集 指環(鈴木しづ子)(序(古谷綱武)
指環
跋(松村巨湫;鈴木しづ子))
評伝 鈴木しづ子追跡(川村蘭太)
文庫あとがき しづ子その後(川村蘭太)
資料(鈴木しづ子句集未収録俳句集成;鈴木しづ子略年譜)
著者等紹介
鈴木しづ子[スズキシズコ]
1919年、東京生まれ。俳人。本名・鎮子。専修製図学校卒。岡本工作機械製作所時代に句作を始め、松村巨湫が主宰する俳句結社「樹海」に参加。『春雷』『指環』二冊の句集を残し、1952年以降消息を絶つ
川村蘭太[カワムラランタ]
1945年、長野県生まれ。ノンフィクション作家。國學院大学文学部中退。CMプロデューサーを経て執筆活動に。句作、俳句研究も(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かふ
17
鈴木しづ子の俳句(2つの句集と巻末に未収録作品)と川村蘭太のルポルタージュ『鈴木しづ子追跡』の合弁本。それまで「娼婦俳人」というイメージだったが川村蘭太のルポを読んで鈴木しづ子のイメージが変わった。俳句は自然(季語)の中に「私」を消していくものだと思っていたが鈴木しづ子の強烈な自我が押し出された俳句は17文字の枠では収まり切ることがない、俳句としてよりも連句として綴った日記のようで、戦時から終戦までの一人の女の生き様として読める。俳句よりも短歌的。2020/10/06
ロア
14
『死にどころこころゑがくや月に雲』『ニッキ苦し生きることは最大悪』2019/10/08
チェアー
12
正直、句はそれほどうまいとは思わない。美貌とスキャンダラスな恋愛模様(当時比)が注目された、ということなのかなあ。本人よりむしろ周囲=師匠なる人、筆者をここまで追わせる人として、何かを持っている人だったのだなと思う。2019/11/10
すいれん
3
鈴木真砂女の句集を検索してヒット。切れのいい言葉は官能的とは思えず。初めて読んだのが40過ぎで、ワタシが女だからかも。性別と読む時期で印象、がらりと変わる事は多々あるけども。とくにそう感じた。あまり「娼婦」に惑わされてはいけない。よくよく考えたら「あ、エロチック」みたいな句が好き。「雪こんこん死人の如き男の手」「コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ」「流星や恋恋として喰むいちじく」が好き。タイトルの「夏みかん…」よりも評論?レポートに出てくる上野ちづ子の句「レモン色の服着て女の体液も酸味」の方が衝撃的。2019/09/12
コノヒト
1
巻末の、未発表投稿句が鈴木しづ子の真骨頂な気がしてならない。恋人ケリー・クラッケを詠んだ数多の句は、その物量からして迫ってくる力が強い。ずしりと重い。2022/06/07