出版社内容情報
奇想天外な手口で華麗にお宝を盗む怪盗S79号。その正体と、真の目的とは? 泡坂妻夫3作連続復刊企画第2弾。
内容説明
神出鬼没の怪盗S79号!指輪に名画、名刀に化石まで、古今東西のお宝を、奇想天外な手口で次々と盗み出す。そんな中、世間では、連続猟奇殺人事件も発生中で、大混乱!果たして、警視庁のS79号専従捜査班は怪盗の正体とその真の目的を暴くことができるのか?ユーモラスで見事なトリックが光る傑作、待望の復刊!
著者等紹介
泡坂妻夫[アワサカツマオ]
1933年東京生まれ。家業の紋章上絵師の仕事をしながら推理小説を書き、76年「DL2号機事件」が第1回幻影城新人賞佳作入選して作家デビュー。78年『乱れからくり』で日本推理作家協会賞受賞。90年『蔭桔梗』で直木賞受賞。また、マジシャンとしても有名で、創作奇術で石田天海賞受賞。本名の厚川昌男名義でのマジック関連著作なども多数。2009年2月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
99
以前ソフトカヴァー版で読んだことがあって、文庫化で衝動的に購入。最近の泡坂ブーム、やっぱり又吉さんの影響かな?登場人物のセクシャリティにトリックを仕掛けるのは、泡坂ミステリの常道。東郷二宮コンビ最高。怪盗の目的が独創的というか、現実的。2018/10/06
涼
74
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/07/post-71afa3.html やはり最後の「東郷警視の花道」がよかったかな。なんだかんだ言っても、東郷と二宮、二人の掛け合いは面白かったです。それまでの苦労が偲ばれて、ちょっとホロッとしました。2023/07/03
HANA
61
宝石や美術品を専門に盗む怪盗S79(しちじゅうくごうでななじゅうきゅうごうに非ず)。怪盗らしくその鮮やかな手口を楽しめるのだが、怪盗自体は陰から活躍するためにあまり登場せず。代わりに主人公となっているのは二人の刑事。この二人のキャラクター造形が秀逸で、ユーモアミステリとしてはこの二人だけで完成しているといっても過言じゃないかも。トリックも著者の手品師の一面が垣間見れるような、独特の楽しいものばかり。ラストは亜愛一郎シリーズを思い出してじんと来たりした。この著者の作品はやはり温かみがあって、一気読みでした。2019/02/15
geshi
33
泡坂先生らしい軽妙洒脱でユーモラスな連作ミステリ。怪盗ものなのに肝心のS79号は性別不明の空な存在にして、捕まえようとする東郷警部と二宮巡査部長の迷コンビのキャラクターが濃く、狂言回しとして楽しい働きをしてくれる。現代ミステリでも通じるようなミステリへのメタ構造的問いかけもあり、軽い読み口ながら一筋縄ではいかない。ラストで怪盗自体が消える展開には驚いたし、二宮巡査部長の遺産ネタがまさかの伏線として生かされたのは感心しきりだし、登場人物勢揃いのカーテンコールに拍手するしかない。2018/03/29
タカギ
29
解説の法月綸太郎氏によると、泡坂先生の作品のなかでは目立たない取り扱いをされてきたらしい。『しあわせの書』や『湖底のまつり』のようなアッと驚く仕掛けは、確かにない。私は泡坂先生の、少し異世界めいた不思議で優雅な雰囲気がとても好き。第12話まで、一話完結のお話としても読める連作ミステリで、最後は幸せな結末。再度法月氏の解説を引き合いに出すと、ミステリ好きの読者がにやにや楽しめるような部分も多いらしい。これは『花嫁のさけび』もそうだったな。あまり肩の凝らない、洒落たミステリです。2018/04/29