内容説明
自殺が贅沢であることを知る者だけが自殺のライセンスを与えられる―生涯にわたって反道徳的な倫理を問うた鬼才による希有なる自殺学の決定版。死の音楽、死と賭博の考察にはじまり、自殺機械の作り方、上手な遺書の書き方、場所の選び方を論じ、自殺紳士録や死をめぐる先人たちの語録まで収めて、自殺を考えつくす。
目次
死についてのノート(死の曲;マホメット殺人;死神占い ほか)
自殺学入門(自殺機械の作り方;上手な遺書の書き方;動機も必要だ ほか)
死についての語録
家出/死(三人の家出ハイティーンの手記;伊良皆恵利子;松崎誓志 ほか)
著者等紹介
寺山修司[テラヤマシュウジ]
1936‐83年。青森県生まれ。詩人、劇作家。早稲田大学中退。54年、『チェホフ祭』で「短歌研究」新人賞を受賞。67年、演劇実験室「天井桟敷」を設立、演劇の変革のリーダーとなる。75年、映画『田園に死す』で芸術選奨新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
59
自殺や家出に関する随筆集。自殺機械の作り方から始まり遺書の書き方、場所の選び方、自殺の資格等が描かれているが『完全自殺マニュアル』的な具体的な方法論ではなく、全体的に抽象的というか観念的なものとなっている。死や性といったものを形而上学的な視点から描くこういう文、六十年代に流行ったものであるな。家出に関する少女の文も、ボクサー以外はやはり観念的で浮世離れしているよう。今の目から見て違和感を感じるのは時代の流れか社会に余裕がなくなったのか。テーマこそ普遍的であるが、内容的にはやはり時代を感じさせる本であった。2018/03/01
テツ
21
自殺に関する寺山修司の捉え方と考え方について。貧困だの失恋だのの悩み苦しみを原因とするのは間接的な他殺だから自殺とは認めない。自殺とはもっと意味不明なシロモノでなければならない。最期なんだから飾り立てろ。一生で一度しかない自分で自分を閉じるイベントなんだから完璧に演出するのだ的なお話を読んでいるうちに、恐らく希死念慮的なモノは雲散霧消するのではないだろうか(面倒臭くなって) 自殺に限らず人生で何かをやらかそうと思うのなら、面倒がらずに自分オリジナルの思考を積み重ねなければならないよね。2019/11/24
ひつじ
9
何らかによって死ぬのは自殺ではないらしい。会社をクビになったから死ぬのは会社に殺されたことになるので自殺ではない。言いたいことはとてもよく分かるが、生死観としてはあまりにもストイックすぎて笑ってしまう。さすがだなぁとしか言えない。死に方を自分で決めるということは、それまでに思いっきり生きるということにもつながる。死と遊べるというのは死と向かい合っているようでもある。とても気楽に。死にたい時に読むにはちょうどいい本だった。2021/10/26
たち屋たちや
9
帯広に行った時に買った。2019/08/30
よいおいこらしょ
3
「社会のあれこれの軋轢にやられ、精神なんか病んでしまって、助けてくれる人もいない。そんな現状で自殺を選んだ人がいたとしたらそれは自殺に見せかけた「他殺」である。社会に殺されたのだ。」と、今の時代"死"のために死ぬことは難しい。それでも死に殉じようと自殺を定義していく衒学的なエッセイ。寺山修司らしいユーモアでとても面白い。2022/07/25