出版社内容情報
川上弘美「河童玉」、泉鏡花「外科室」など、小川洋子が偏愛する短篇小説16篇と解説エッセイが奏でる究極のアンソロジー。
内容説明
短篇と短篇が出会うことでそこに光が瞬き、どこからともなく思いがけない世界が浮かび上がって見えてくる―川上弘美「河童玉」、泉鏡花「外科室」など魅惑の短篇十六篇と小川洋子の解説エッセイが奏でる極上のアンソロジー。
著者等紹介
小川洋子[オガワヨウコ]
1962年、岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞を受賞。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、13年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青蓮
118
小川洋子さんが選んだ16篇の短編集。それぞれの作品に小川さんの解説エッセイつき。泉鏡花の「外科室」、梶井基次郎の「愛撫」、中井英夫の「牧神の春」、色川武大の「雀」、岸本佐知子の「ラプンツェル未遂事件」など既読もありつつ、私好みの作品が満載。小川さんのセンスというか、チョイスが素敵なアンソロジーでした。初めて読んで気に入ったのは日和聡子の「行方」。この方の他の作品も読んでみたい。2017/09/14
rico
99
収められた16の短編はほぼ初読。読みやすいものばかりではないけど、1つ読んで、それぞれの作品につけられた小川さんの解説(エッセイ)に「あ、そういうことなんだ」て、また読みなおす。楽しい。グロテスクなまでの身体へのこだわり、どこともつかない世界のあわいを漂っている感覚など、小川作品を構成する要素のかけらがうっすら見えるのも嬉しくて。今回は「雀」「行方」が印象に残ったけど、次読むときにはまた違った作品に魅かれそうな予感。読友さん絶賛の庄野潤三も気になる。カバー絵同様、芳醇なワインのようなアンソロジーです。2021/09/23
コットン
82
小川洋子の選んだ16の有名作家による短編で厳選された作品。例えば中井英夫著『牧神の春』:主人公が牧神に変身しニンフに会うわけだが牧神に変身する迄の自然で手早い話の運び方が良い。木山捷平著『逢びき』:私と細君との、どことなくトボけた会話に昭和を感じる。各作品の後ろに小川洋子の解説エッセイがあるのも面白い2024/03/06
佐島楓
75
エロティックで、幻想的な短編集。日本の近代文学作家による作品が多い。一番おそろしいのは、作品ひとつひとつに付記された小川さんの解説エッセイかも。2017/06/12
里愛乍
69
独特の世界観でもって編まれた、小川洋子氏による短篇集。何作かの既読作品も収められていましたが、一冊に纏められるとまた違った感覚を受けるのは各小説のあとに続く解説エッセイによるものであろう。まるで綺麗なオチのようにバラバラに発表されたはずの小説たちが、いかにもこの一冊のための作品のように、ひとつの箱に収まった。大変美味しく、楽しませていただきました。2022/08/30